SIM's memo

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Books

2013年の読書を振り返る(3)

つづいては、こちらのジャンルから振り返ってみる(あまり長くならないよう気をつけます)。

2013年の読書を振り返る(2)

続いてはこちらのジャンルで印象に残った書籍を振り返ってみたい。

2013年の読書を振り返る(1)

今年も残すところ、あと半月をきった。2013年の読書は、例年にくらべてそれほど沢山読まなかった。とはいえ、良書と巡り会えたのはたしか。節操なくここで振り返るのもなんなので、テーマごとに数回に分けて振り返りたい。

そろそろ読み始めようと思っているけど、いつまでたっても机上に鎮座したままの本たち

「タンスのこやし」という言葉がある。僕の場合は「机の上の防壁(北側)」が相当する。しかし、見ての通り、この防壁、結構低い!ていうことは、すぐ壊せる(=読める)のでは?と思ってしまう。ところがどっこい。近くて遠い好きな女の子のように、なかな…

「情」の世界

徳太郎尾崎紅葉の『多情多恨』(1896=明治29年)を読んだ。玄人筋では、『金色夜叉』よりも評判がいい紅葉の代表作のひとつだ。一読して、なるほどこれは面白い。全体にテンポもよく、言文一致で書かれている。筋もわかりやすい。『読売新聞』に連載されて…

文月読書漫談

7月はなんだかだで読書ができたような気がする。久方ぶりに面白く読めた書籍に巡り会えたことが大きいだろう。7月もとうに過ぎてしまったが、ここではその中から2つの傾向のもとに読書をしてきた軌跡を簡単に述べてみる。

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(4)〜

門をくぐれた御米、くぐれなかった宗助(2) 宗助が御米の心身の不調と入れ替わるように、不安に苛まれる直接のきっかけとなったのが、かつての友人安井の存在であった。崖上に住む大家の坂井家主人の弟が蒙古におり、そこで知り合った友人というのが安井で…

水無月読書漫談

表面上あまり思われない(見られない)のだが、実は6月はずっとこころが荒れていた。そして今もそれなりに荒んだこころもちでいる。そんな荒んぢまつたこころもちにもかかわらず、それなりに読書ができた。おそらく荒んでいるからだろう。ある意味、慶賀す…

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(3)〜

門をくぐれた御米、くぐれなかった宗助(1) もともと身体が丈夫ではない御米が、精神的疲労と緊張感から「発作」で寝込んでしまう場面がある。そこに至る伏線を箇条書きしておこう。

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(2)〜

御米という存在 野中宗助の妻御米はどう描かれているのか。まずはこちらを読んでみよう。

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(1)〜

明治43(1910)年に発表された漱石の『門』を久しぶりに読み返した。最近、あまり小説を読まなかった(読めなかった)が、一気に読了した。今読んでも古さを感じさせない。あれこれ、問いがちりばめられている。これこそ、文学の文学たる由縁だろう。…

皐月読書漫談

5月はなんだかだで読書をしていたような感じだった。しかし、上旬の読書と下旬での読書は、その様相がガラリと変わっている。ひとえに、僕自身をめぐる環境あるいは心境の変化である。ここでは上旬の読書をざっとメモみたいに書いておく。

道化者をふたたび送る。

2013年3月に黄泉の国へと旅立った山口昌男という人物は、知る人ぞ知る学者だった。この稀代の道化師に縁のある人たちによる追悼特集が『ユリイカ』に掲載されているのを知ったのは、twitterでフォローしている田中純氏のツイートだった。これは読まなき…

Soul Mining

みすず書房から今年の3月に刊行されたダニエル・ラノワ『ソウル・マイニング』は、久しぶりに楽しくそしてこころ揺さぶられる自伝だった。ダニエル・ラノワの名前を聞いたことがなくても、たとえばU2の"The Unforgettable Fire"や"The Joshua Tree"あるいは…

蟄居屏息

僕という人間をある程度知っている人、あるいは拙ブログを読んで下さってる方はおわかりかもしれないが、現在蟄居状態である。理由はいくつかあるが、女性関係でそういう仕儀になった訳じゃない(なりそうにはなったが、それはまた別の話)。色々と事情が変…

卯月読書漫談(下)

さて、丸谷才一が亡くなって半年が過ぎる。続々とかれの著書が文庫化されている。小説家としては、然程面白いものを書いているとは思えないが、エッセイことに評論については丸谷のよさであるキレがでているように思う。『恋と日本文学と本居宣長・女の救は…

卯月読書漫談(上)

「4月は残酷な季節だ」という手あかにまみれつつあるT.S.エリオットの言葉を待つまでもなく、僕にとっての4月は残酷さプラス、リビドーほぼ全開な一ヶ月だった。こういう時は何故だかわからないが、意外と良書そして読書をする機会が増える。てなことで、…

読みかけ本の在処

読みかけの本が多い。しかもリスク分散のように数カ所に置いてあるときた。改めて確認してみると、まずは寝床。枕前の本棚(無印のパルプボックス)に置いてある。4冊。一番下の分厚い本は、ミシェル・レリスの『幻のアフリカ』(平凡社ライブラリー)。そ…

弥生読書漫談

すっかり4月になってしまい、先月読んだ本のまとめを残しておくのを先延ばしにしてしまった。年度またぎはいかんなあ。という訳で、2月に続き3月も読書にあてる時間があまりなかった。したがって、今月も2冊、しかも電車での移動中に読了したものである…

道化者、黄泉の国へ

山口昌男が亡くなった。81歳。晩年は脳梗塞を患い、表舞台から姿を見せなくなった。しかしかれの仕事に多くの人たちが刺激され、また励まされてきたと思う。ぼくもそんなはしくれのひとりだ。 学生の頃、「山口昌男」の名はぼくにとっては憧れであり、手に…

芥川の歌

今日3月1日は、芥川の誕生日である。今から121年前の1892年生。芥川は短編小説が有名だが、個人的には芥川の本分は文藝、とりわけ詩歌にあったと見なしている。こころみに、手許にある岩波版『全集』第十八巻(書簡Ⅱ)を繙いてみよう。 こちらは芥…

如月読書漫談

2月はまあ読書をしなかった。たった2冊、いずれも電車で移動した時に読み終わった書籍である。仕事のせいに敢えてしておこう。 という訳で、まずは昨年末に亡くなった小沢昭一氏の写真コレクションと昔のエッセイをあわせた、結果として追悼本となってしま…

距離感としての花柳小説

「花柳小説」というジャンルがあるようだ。本書の編者である丸谷才一によると、花柳界を舞台とする小説のみならず、バーのマダム、女給たちが懸命に生きている姿、そして私娼から男娼たちの様態までも含むとのこと。誤解を恐れずにいえば、人間関係をめぐる…

久しぶりの読書など

今日は朝から東京での仕事だった。いつも東京へ行く時はJRを使うのだが、今回は最寄りの私鉄を利用した。理由は東京メトロが乗り放題を含めたパスが安かったため。それなので、最寄り駅から一日一本出ている昭和感満載の特急列車に乗ることにした。 道中、今…

チキンレースという名の読みかけの本たち

2013年2月7日時点で、読みかけの書籍がいくつあるだろうと数えてみることにした。 『日本民謡集』(岩波文庫) トマス・ピンチョン『逆光(上)』(新潮社) 宮本正興・松田素二編『新書アフリカ史』(講談社現代新書) 鳥羽耕史『1950年代』(河出書房新社…

睦月読書漫談

2013年も残すところあと10ヶ月余となり、流れゆく時の早さにまったくもって愕然とするばかり。そんなこんなで、先月読了した書籍たちを簡単にレヴューしておこう。 Musicをめぐるお話 仕事のため、日本におけるレコード文化の歴史を知っておかなくては、と思…

ラップ・ミュージックと「演歌」

トリージャ・ローズ『ブラック・ノイズ』(みすず書房)は、ラップ・ミュージックの持つ様々な文化的プロトコルや重層性を多角的に分析した本である。本書を読んで気付いたのは、都市貧困層の黒人たちから生まれたという点において、ラップ・ミュージックと…

新春書籍購入の旅

・『新書アフリカ史』(講談社現代新書、1997年) ・『世界の歴史24 アフリカの民族と社会』(中公文庫、2010年) ・中川 真『増補 平安京 音の宇宙』(平凡社ライブラリー、2004年) 元旦に購入した"Opika Pende Africa at 78RPM"(Dust-to-Digital、2011年…

2012年の読書を振り返る。

今年はまあ例年以上に読書をしなかった。何故だろう?と考えてみると、答えはひとつ。音楽にどっぷりつかっていたから。とはいえ、そこそこ読書はしてきた。否、ほぼ毎日読書はしていた。その大半が仕事絡みというのだから、不真面目で知られる小生とすれば…

20121211購入

上野洋三校注『吉原徒然草』(岩波文庫) 「徒然草」の文を模しながら、吉原を案内&心得などをつづったもの。作者不詳っていうのもなかなか乙なものである。おそらく遊郭を経営あるいは女衒あたりだろう。人間の業ってやつを知るにはいい一冊だろうと思い購…