SIM's memo

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言葉はしらじらしく

 思えばいったいどういう関係といえばいいのだろう。知り合ってまもなく、一緒に食事をしにいった。話がはずんで、次の店へと行った。ぼくは自分の話をした。彼女はその話を聞いて涙を流した。気は強くて頑固だけど、気さくで誰からも親しまれている。今だってそうだ。しかし、ちょっとしたぼくの間違いでなんとなくギクシャクしてしまった。
 
 ふたりきりで話すことがここ最近なかったけど、先日たまたまそういう状況になった。何故か妙な空気というか気まずいような何とも言えない雰囲気が部屋中満たされた。話すとき、彼女はこちらをちらっと見るだけで視線をおとしてあれこれ考えていた。言葉はふわふわと互いの頭上に浮んだまま、いつまでも落ちてくることはなかった。
 
 別に付き合っていた訳じゃないのに、カップルの別れ際のような雰囲気。他の人たちがいる時はそういう雰囲気にはならず、普通に話せる。彼女はぼくの間違いのせいで、ぼくを嫌ったりしている訳じゃないと言う。しかし相変わらず、言葉は互いの頭上に漂ったまま落ちてくることはなかった。
 
 そして未だにその言葉は落ちてこない。

指切り/シュガーベイブ