E:エロスの涙
ぼくは女性好きと職場では思われている。今更否定する気はさらさらない。では何故そう思われているか?おそらく、50代であろうが20代であろうが、自分が単純に好きだ、気に入っていると思ったら、まず話かけているからだろう。職場に限らず、僕はどこでもそのスタンスである。
…とここまで書いてみて、ふと気づいた。もしかしたら、単に女性が好きだから、女性たちにちょっかいを出しているのではない。男性ホルモン「テストステロン」のせいにしてみてはどうか。この男性ホルモンは目標や野心を抱いていると多く分泌されるらしい。あるいは、ちょこちょこ恋愛をしていると、多く分泌されるらしい。なるほど。僕は男性ホルモンに操られている可能性が高いのか。だとしたら、それはそれで面白いではないか。頭と感情の絶妙なバランスで、女性との談笑などを楽しんでいたとばかり思っていたが、もっと本能的な部分で楽しんでいたということなのだろう。
しかし、である。そんなことをしていたら、社会生活に支障をきたすはずだ。幸い、ギリギリ?僕は社会生活に支障をきたしてない。となると、男性ホルモンと理性&判断力の相克に日々さらされ生きているということか。となると、エロスって一体なんなんだ?という話である。
エロスは理知的で感情的なものだと思っている。プラトンの『パイドロス』を持ち出すまでもなく、エロスは神が作り出した狂気である。それ故、ソクラテスはエロスを「善」の性格を持つ狂気だと述べていた(確か)。さらに、「美を求めるもの」としてエロスはある。だからこそ、エロスは単純に感情的な存在ではなく、きわめて理知的な存在でもあるのだ(『パイドロス』が弁論術の著作でもあったことに注意されたい)。
さて、「テストステロン」に翻弄されている(かもしれない)僕の行動は、もしかしたら、エロスの流す涙がエネルギーとなっているのかもしれない。けれども、単に女性のことを好きでいることへの妙な弁解になっているような気もしてきた。今更ではあるけれども。
- 作者: プラトン,藤沢令夫
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