なつかしいお菓子
ひさしぶりの食べ物の話を。なつかしい洋菓子がある。それは欧風菓子クドウのレーズンクッキーとフロレンツアーミレーである。
小さい頃、すでに神奈川から栃木へ引っ越していた僕は、神奈川の家へ行くと必ずここのレーズンクッキーとフロレンツアーミレーを買ってもらっては食べていた。レーズンクッキーは大人の味である。大粒のレーズンはラム酒で甘く煮詰められ、しつこくない生クリームとしっとりとしたクッキーにはさまれている。ぼくはこのクッキーが大好きだ。そのクッキー生地を存分に味わえるのが、フロレンツアーミレーである。キャラメルにコーティングされたアーモンドとしっとりとしながらサクサクとする香ばしいクッキー生地は、ゆっくり食べたい味。そんなに頻繁に食べられるものではないからこそ、いつまでも懐かしい味なのである。
クドウの洋菓子よりも親しみがあるのは、ありあけのハーバーだ。カステラ生地にしっとりとした栗餡と粒栗は、栃木ではなかなか味わえない洋菓子だった。ありあけのハーバーは1999年一度消えてしまっている。有明製菓が倒産してしまったからだ。しかし、倒産の翌年には元の社員と有志らによって「ハーバー復活実行委員会」が結成される。紆余曲折を経て、2001年4月に復活、現在に至っている。子供の僕にとっては、ありあけのハーバーは、クドウの洋菓子以上にワクワクするお菓子だったような気がする。クドウの洋菓子が憧れだとしたら、ありあけのハーバーはアイドルのような存在だった。だから、社会人になって、ありあけのハーバーが復活した時、とても嬉しかった。また懐かしい味にあえる。好きなミュージシャンの再結成にはさほど関心がないが、お菓子はそうじゃない。愛されればこそ、である。
なので、先日神奈川へ帰った時、クドウの洋菓子とありあけのハーバーを買ってきた。クドウのはまだ食べていないが、ありあけのハーバーはさっそくひとつ食べた。やっぱり変わらない味だった。