SIM's memo

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個人的に2013年印象に残ったアルバムを振り返る

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 2013年は例年になく、よくCDを購入したし、よく音楽を聴いてきた。ここ数年、音楽への情熱というものはあまりなかったように感じていた。しかし様々な人との出会いなどを経て、改めて素晴らしい音楽とも巡り会えた。そんな2013年に比較的よく聴いていたアルバムを1ダース挙げていく。

  • Jeff Beck "Blow by Blow"(Epic:1975)
  • The Beach Boys "Surf's Up"(Brother/Reprise:1971)
  • Creedence Clearwater Revival "Green River"(Fantasy:1969)
  • Green Day "Nimrod"(Reprise:1997)
  • The Isley Brothers "Winner Takes All"(T-Neck/Epic:1979)
  • Antônio Carlos Jobim "Wave"(A&M:1967)
  • Little Feat "Waiting for Columbus"(Warner Bros.:1978)
  • Manassas "Manassas"(Atlantic:1972)
  • Procol Harum "A Salty Dog"(Regal Zonophone:1969)
  • Linda Ronstadt "Prisoner in Disguise"(Asylum:1976)
  • Ry Cooder "Jazz"(Warner Bros.:1978)
  • "Opika Pende - Africa At 78 RPM"(Dust to Digital:2011)

 2014年春に来日する(何年振りだろう?)Jeff Beck先生を代表するアルバムといえば、"Blow by Blow"。ただ一言カッコいい。さすが先生を慕い続けて20年余。今聴いても色褪せない名盤。
 つづいて、The Beach Boysが好きな人でも評価が二分される"Surf's Up"。やっぱり本作の白眉はラストのタイトル・トラック。水が大嫌いというBrian Wilsonによる“チャプチャプ”という擬音を入れたコーラスをどう解釈すればいいのか、いつも悩む。
 で、ほの暗さに関しては"Green River"も負けてはいない。一聴すると、決して暗さは感じられない。けれども、かれらが奏でるギターの音色には哀しみがある。どんな哀しみか?貧しさ、這い上がりたくても這い上がれない絶望的な哀しさ、である。だからかれらは、アメリカの伝統的な音楽の流れを汲んでいると思う。
 そんでもって、2013年後半は毎朝"Nimrod"を必ず聴いて仕事に向っていった。Green Dayは結構popだなあと思う。popといえば、1970年代いわゆるT-Neck時代のThe Isley Brothersも結構popだったと思う。70年代を締めくくる大作"Winner Takes All"は、FunkからDiscoブームを経てもなお、かれらの持ち味であるリズムの反復と歌の絡み合いは健在で素晴らしい。心地よい音を支えているのは、やはりリズムである。Antônio Carlos Jobimの名作"Wave"は、タイトル通り、寄せては返す波の音を聴いているかのような心地よさ。ボサノヴァは何も夏の専有物ではなく、陽の光が眩しい冬の朝に聴いてもいい。なんせ、心地いいから。
 心地いいといえば、Little Featライブ・アルバム"Waiting for Columbus"はドライブに最適。聴いていて気持ちがいい。groove感が素晴らしい。このライブの頃は、メンバー間に険悪な雰囲気が立ちこめていたという。アルバムは編集もされてはいるが、この時でないと生まれなかっただろう音のうねりとテンションは、しっかり活かされている。
 groove感が素晴らしいのは、何もライブ・アルバムだけではない。Stephen Stills率いるManassasのデビューアルバム"Manassas"は、発売当時はLP2枚組。4部構成それぞれにテーマが設けられている。この1枚で1970年代のアメリカン・ロックが見通せる。改めて聴いてみて、文句無しに素晴らしい1枚。
 さて、舞台を大西洋を渡ってイギリスに移してみる。ユーミンもJimmy Pageも大好きだというProcol Harumの代表作"A Salty Dog"も、Manassas同様、なかなかヴァラエティに富んだアルバム。Manassas同様、根っこにはR&Bがあるのだ。聴けば聴く程味わいが増してくるスルメイカのようなアルバム。
 でもって、またアメリカ大陸に戻りまして、食わず嫌いをしてきたLinda Ronstadtの佳品"Prisoner in Disguise"は、文句なしによかった。Lindaの歌声も去ることながら、全曲で八面六臂の活躍をみせたAndrew Goldの存在が大きかった。このアルバム発表の翌年、Andrew自身も"Lonely Boy"の大ヒットで一躍スターダムに昇りつめていく。心の襞を撫でてくるようなアルバム。
 さて、年末になり無性に聴きたくなったのが、Ry Cooderの異色作"Jazz"。一般に知られているフリースタイルの"Jazz"という概念は本作にはない。より根源的で、Jazz発生当時の音に近づきつつ、かれの味を加えた作品。小難しいことを考えず、とにかくRyの奏でる音楽の世界に身を委ねればいいと感じさせる一枚。夜ひとり静かに聴くのもよし。皆で明るいところで聴くのもよし。なかなか汎用性の高いアルバム。
 最後にちょっと異色のコンピレーションを。2013年第55回グラミー賞のワールド・ミュージック部門でノミネートされた"Opika Pende - Africa At 78 RPM"。1900年代から1950年代までのアフリカ各地で録音されてきたアフリカン・ミュージックの玉手箱。"78 RPM"とあるのはSP盤の回転数。"Opika Pende"はリンガラ語で「頑張ること、抵抗すること」を意味する。このタイトルはとっても意味深で、本作に収録されている楽曲の多くはヨーロッパ資本、つまり大手レコード会社のスタジオから生み出されたもの。本作にも収録されているいくつかの楽団は欧米へコンサートツアーを行い、成功を収めてもいた。SP盤とコンサートという今とさほど変わらない音楽産業の萌芽はすでに1920年代あたりから出ていたのだ。とはいえ、かれらは欧米資本に消費されるためだけに音楽をやっていた訳ではない。そのことは本作を聴けばよくわかる。最後に。この手のコンピレーション・アルバムを多く手がけているアメリカはアトランタにある"Dust to Digital"に賛辞を送りたい。
 
 そんなこんなで、2014年はどんな音楽を多く聴いているのだろう?楽しみながら聴いていきたい。