思い出すことなど(11)
Sugar Babe "SONGS"(1975)
Sugar Babe "SONGS"というアルバムは、僕自身にとって新たなステージに入った象徴的な存在だったな、と今にして思う。ちょうど20年前、大学入学のため神奈川の家に引っ越して(戻って)間もない頃*1、このアルバムをはやる気持ちを抑えながら購入した記憶がある。なので、このアルバムは僕にとって桜が散った後の春を思い出させる。
"SONGS"の中でどの曲が一番好きなのだろう?と考えると、その時々によって変わっていると思う。しかし、20年を通じて好きなんだなあと思う曲がある。メンバーの大貫妙子がうたう「いつも通り」だ。
いつも通り - 大貫妙子×土岐麻子 - YouTube
掲載したYouTubeは土岐麻子と一緒にうたっているver.こちらは結構"SONGS"の雰囲気が残っているように思う。
きっとあきらめるわ 今なら
何もなくしたものはひとつもないし
街はいつも通り きっといつも通り
にぎやかな人波があふれてる
だから笑ってかけだす
(いつも通り)
この歌を口ずさむと、僕はなぜか下北沢駅(小田急線の方)界隈を歩いたことを思い出す。「きっと」という大貫妙子の歌い方や「にぎやかな人波があふれてる」というフレーズと都会のごちゃごちゃとした感じが重なりあっているのかもしれない。今なら、「だから笑ってかけだす」が自分にとっての最高の一年を暗示していたんだと思える。
そんなこんなで、ここ最近かなり懐かしく思い出す。おそらく、あの頃から遠く来てしまったなと思っているからかもしれない。もしくは、年をとったからかもしれない。いずれにしても、"SONGS"でしか味わえない何ともいえないせつなさやら寂寞とした感じやらは、今なお変わらない。
*1:仕事のため両親ともども栃木の田舎へ引っ越していた。