SIM's memo

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詐欺電話から考える親と老い

 昨夜、母親(64)から不在着信の電話があった。かけなおすと、昨日の電話の件どうしたの?と言われ、一瞬「えっ」と思った。その日は実家に電話をしていない。しかし母親曰く、電話をしたという。よくよく話を聞いてみると、どうも僕が携帯電話の架空請求で変な電話がかかってきて困っている。警察に相談したら、携帯番号を変えた方がいいと言われたので、翌日番号を変更してくる、と言ったというのだ。母親は、どうも声がいつもと違って変だなあ、風邪でもひいたのかなと思い尋ねると、相手はちょっとね、みたいなことを言ったらしい。で、電話を切る前に、携帯番号変わったらまた連絡するからと言って相手はきったらしい。
 
 そもそも、こんなことを半信半疑とはいえ、なんだか母親が僕からの電話だと信じてしまったというのは、日頃の僕の実家への連絡方法にも原因があった。両親は一応携帯電話を所有している。しかし僕が両親に電話する際、もっぱら固定電話へ連絡する。なので、母親は固定電話にかけていた僕を装った人間の変な電話にもあまり疑問が湧かなかったようだ。ただ、いつもと声がなんか違うと思ったから、電話の相手に尋ねたとのこと。相手は、その時点でおそらくこれは詐欺にひっかけるのは、もしかしたら難しいのでは?と思って話を適当に切り上げようとしたのかもしれない。あるいは、声が若々しく感じたから、これはちと無理か?と思ったのかもしれない。いずれにしても、お金を請求されることもなかったようだ。
 
 しかし、息子である僕はこの話を聞いたときちょっと動揺した。まず、こんな間抜けなことでわざわざ親に電話はしない。ちょっとショックだったのが、こんなことでおっさんである息子が親に電話をしていることを母親があまり疑問に思っていなかったということ。なんだか、日頃の親への対応がここで露になっているかのようで、いささかショックでもあった。それと同時に、親はすでに老境の域に達してきたんだなあ、と実感したこと。どうしてもこの手の電話がかかってきたというのは、親が年老いているというイメージがあった。そして息子からみて、電話の相手を僕だと半ば信じていたことも含めて、いつまでも元気でいると思っていたけど、もう老いの季節が来ているんだなあと痛感した。そう考えると、10年後に親がどうなっているかわからない。親が老いるということは、僕も老いに向けてまっしぐらということだ。親の面倒のこと、お墓のことなど考えなくてはいけない。そう思うと、今年は春に祖母が亡くなり、実家も近い将来売らなくてはならない。孫(僕からみれば姪)ができたことetc…色々と変化の兆しがでてきている。こんな些細な?ことで、色々と考えさせられた夜だった。