SIM's memo

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クモに好かれる

 前々から思っていたのだが、どうやら僕はクモに好かれているようだ。まず、車内によくクモが棲みつく。そして、気付かぬうちにクモが僕の身体のどこかにいたりする。何だか頭部あたりに違和感があるなあと思ったら、クモが糸をはいていたり。
 
 クモが好きかどうかと言われれば、どちらでもない。クモは僕の天敵でもある蚊を食べてくれるので、そういう意味では好きというか、有難い存在である。窓にクモの巣がはってあっても、取り払わないのはそのためである。そういえば、母親はつい最近まで、自宅でクモを飼っていた。飼っていたといっても、虫かごに飼育していた訳ではない。居間の蛍光灯にぶらさがる紐に大きなクモの巣をはったクモをとりはらうことなくそのままにしていた。毎年夏あたりに住みつくそのクモは代々、雄雌関係なく「ベンジャミン」と名付けて愛でていた。何故「ベンジャミン」と名付けたのかよくわからない。父親ははじめはとても嫌がっていたが、最後は何も言わなくなった。僕は特段何とも思わなかった。
 
 母親にクモが好きな理由を尋ねたら、小さい頃北海道で暮らしていた時、ひとりぼっちで寂しさを癒してくれたのが猫とクモだったようである。一瞬納得しそうになったが、よくよく考えたら、クモって孤独を癒してくれる存在じゃないよなあ、たぶんとも思った。けれども、それ以上深く聞くこともしなかった。
 もしも、クモに好かれる/クモが好きという遺伝子プログラムがあるとしたら、間違いなく僕はその遺伝子を母から受け継いだのだろう。妹や弟たちにはそれが受け継がれていないように見えたから、おそらく僕だけだ。もしも、僕に子供ができたら、クモに好かれる/クモが好きという遺伝子は、娘に受け継がれるのだろうな、たぶん。でも、これっていいのか悪いのか、現時点ではやっぱりよくわからない。