SIM's memo

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巡礼&苦行余録(1)

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            後楽園入口付近売店のベンチから(岡山市
 
 今回の旅のメインは結果的には西讃岐を巡礼することになった。けれども、拠点とした倉敷岡山市はどこも行かなかった訳ではない。

 西讃岐を巡礼した翌日、滞在ホテルから程近い大原美術館にはじめて行った。前回は、時間の都合で拝観できなかった(詳しくはこちらをご覧になってみて下さい)。しかし今回はある程度の強い意志の下、まずは拝観をと思い訪れた次第。
 日本で最初に本格的な西洋美術館として1930(昭和5)年に開館したという大原美術館。本館に入ると、多岐にわたる大原美術館のコレクションが出迎えてくれる。ここのよさは、それぞれの作品が展示ケースに納まってるのではなく、文字通り手に届くところに作品があるところ。個人的にはセザンヌマティスの作品をじっくり観ることができたのは大きな歓びだった。
 続いて別館へゆくと、近代日本の洋画を中心に展示されている。個人的によかったのは、梅原龍三郎の「竹窓裸婦」(1937)と「裸婦扇」(1938)。一度東京でこれらの油絵は観た記憶があった。しかし今回改めてじっくり観てみると、肉付きのよい裸婦を縁取るエメラルド・グリーンと乳輪と唇の朱色、脛あたりの白のコントラストがインパクトがあった。むせかえるような、女性のエロスとどこかアンニュイだけど羞恥の表情が少しだけ滲みでているところなど、作品全体には力強さと不思議な雰囲気に包まれていた。梅原龍三郎のよさを再発見したのは大きな収穫であった。
 
 大原美術館を後にし、電車で岡山市内へ向かう。まずは後楽園内にある岡山県立博物館へ。岡山県立図書館に比べ、建物の古さが目立つ。中へ入ると、古い建物独特の匂いが充満していた。それぞれの展示物はなかなか興味深かったものの、岡山県の歴史を思うと、もうちょっと攻めてもよかったのではないかと思い、物足りなさを感じた。
 西讃岐を訪れた前日同様、暑さがとても厳しかったので、後楽園入口の売店で少し休んだ後、次に岡山県立美術館へ向かう。目的は「岸田吟香・劉生・麗子 知られざる精神の系譜」の目録を購入するため。今冬に世田谷美術館で春には岡山県立美術館で開催された企画展を見逃してしまっていた。なので、せめて図録だけでも、と思い購入。
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上製本でオリーブ色の装丁丁寧につくられた図録ではあるが、この手の書籍の宿命である訂正が複数あったのがかえすがえす残念である。
 
 岡山県立美術館を後にして、中心街をめぐった後、前日につづき瀬戸内海を縦断し、高松へと向かった(つづく)。