SIM's memo

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一期一曲(17)

Roy Wood "Songs of Praise"(1973)
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 世に天才・鬼才と呼ばれる人はそれなりにいる。けれども、両方称されている人は決して多くない。「バーミンガムの仙人」ことRoy Woodはまさに天才・鬼才の名に相応しいミュージシャンである。そんなかれが出したはじめてのソロ・アルバム"Boulders"の1曲目に収録されているのがこの曲。
 
 ゴスペル調のポップな曲でとても親しみやすい。しかしよくよく聴いてみると、どこか変である。ちょっと甲高いコーラス、高らかにうたっているのだけど、どこか不真面目さが見え隠れしているところなど(しかしながら、本人は真剣なのだろう、おそらく)ロックン・ロールに諧謔を持ち込んでいるあたりは「福生の仙人」こと大瀧詠一さんと共通している。念のために述べておくが、Roy Woodは類い稀なるソング・ライティングのセンスで、在籍していたグループ(The Move, Electric Light Orchestra, Wizzard)で出す曲出す曲は常にイギリスのポップ・チャート上位にあった。
 ちなみに、このアルバム、演奏もジャケットもすべてRoy自身がてがけた。やるんだったら、とことんというところに、Royの性格というか気質があらわれている。演奏といえば、Royのようなマルチ・プレイヤーとなると、Paul McCartneyTodd Rundgrenを思い浮かべる。けれども、かれらとRoy Woodの違いは管楽器あるいはチェロも演奏している点。こんなことができなければ、ロックとクラシックの融合を目ざしたElectric Light Orchestraをつくることなどできなかった。
 
 高校生の頃に世界初CD化なった。僕にとっては幻のアルバムだったので、入手できた時のよろこびはひとしおだった。そして十数年後に奇跡的にリマスター盤(紙ジャケット仕様)*1が発売になって迷わず購入。さらに好きになった。XTCともども、秋のはじまりのヘビロテの常連となっている。
 

ボールダーズ(紙ジャケット仕様)

ボールダーズ(紙ジャケット仕様)

*1:現在、入手困難だと思われますが、紙ジャケット仕様ではない通常版は手に入ります。