SIM's memo

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一期一曲(22)

Free "My Brother Jake"(1970)
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 Freeというバンドの音楽的傾向を見ると、今回取り上げた曲はかなり異色に聴こえるかもしれない。一般にFreeと言えば、"Fire and Water"に代表されるようなbluesあるいはboogie等のroots rockをかれらなりに解釈したrockを得意としていた。けれども、"My Brother Jake"はヴォーカルのPaul Rogersが奏でるピアノを全面的にフィーチャーした仕上がりになっている。
 
 学生の頃、Freeのベスト盤を購入してこの曲を聴いた時、何故またこの曲だけまったく違う毛色をしているのか?と不思議に思った。音楽的経験値がさほど高くない頃には、メロディアスでどこかせつない雰囲気をもったこの曲に惹かれた。けれども齢を重ね、Freeのアルバムがリマスタリングされ紙ジャケットとして再発された時に聴き直すと、決してこの曲が異色ではないことに気付いた。やっぱり根っこはbluesなのだ。テイストはちゃんと残っている。"My Brother Jake"はシングル・カットされ、アルバム未収録である。同時期に発売され、まったく売れなかったアルバム"Highway"に収録されている曲と併せて聴くと、どこかロマンティックな雰囲気が残っている。これはおそらくPaul Rogersの「色」なのだろう。そういえば、同時期に発売されたEric Claptonのソロ・アルバムと共通する雰囲気がある。
 
 夏が過ぎ、秋の雰囲気がゆっくりと漂ってきた頃に"My Brother Jake"を聴くと、やっぱりせつない。3分弱でコンパクトにまとまった構成ではあるが、いささか慌ただしいつくりにも聴こえるせいなのかもしれない。
 

ハイウェイ+6(紙ジャケット仕様)

ハイウェイ+6(紙ジャケット仕様)