SIM's memo

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一期一曲(26)

The Millennium "It's You"(1968)
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 1960年代半ば、ちょっとアップテンポでwarmfulなサウンドを特徴とした"Sunshine pop"なるジャンルがCaliforniaあたりで生まれた。この馴染みの薄いジャンルの代表としてThe Millenniumというグループははずすことができない。中でも、かれらの唯一のアルバム"Begin"に収録されている"It's You"は、同時期に発表されたRoger Nichols & the Small Circle of Friendsの"Love so Fine"と並んでとってもキャッチーなpop tuneである。
 
 メンバーでもあった鬼才Curt Boettcher(早世が惜しまれる)のやりたかったことがこの曲にはとてもよくあらわれている。澄んだアコースティック・ギターの音色、変幻自在なコーラス・ワーク、転調の妙に10代の僕はとても驚いた。本当ならば、はじめから通して聴かないとこのアルバムの素晴らしさと意欲はわからないと思っている。けれども、ポップだけどそれだけでは終わらない美しい"It's You"というナンバーに、Curt Boettcherという人がやりたかったことがうまくつめこまれていると思っている。
 
 "It's You"をはじめとするこのアルバムを聴くと、夏がもう終わってしまい、秋にむけて歩みはじめたことを身にしみて感じる。久方ぶりに聴いてみて、あの頃の様々な感情がここまで甦るとは思わなかった。それだけ、このアルバムが僕にcommitしていたことを改めて実感している。
 

ビギン(紙ジャケット仕様)

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