SIM's memo

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一期一曲(32)

Billy Joel "Get It Right the First Time"(1977)
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 Billy Joelの曲は、はじめて聴いた時からどこか懐かしさが漂っていた。おそらく、リアルタイムで聴いていた人にとってもそうだったのかなあと想像する。とりわけ、かれの代表作ともいえるアルバム"The Stranger"は、全曲これ懐かしさ満載の傑作である。中でも、僕は今回とりあげる"Get It Right the First Time"が好きだ。
 
 "Don't believe the first impressions"ではじまるこの曲は、アルバムの中でもひときわ軽快なテンポで歌われている。これがいいのだ。Billy Joelのいいのは、ちょっとラテンぽい、ちょっとビートルズっぽいという「ちょっと〜ぽい」ところ。声量があるので力強く唄えるし(この人は根っからのロックン・ローラーなのだ)、切々とも唄える(だから"Just the Way You Are"は名曲なのだ)。どちらかの極に振り切らない絶妙なバランスこそ、Billy Joelの魅力である。その魅力が"Get It Right the First Time"のような佳品にこそ発揮されている。
 
 "The Stranger"というアルバムは、僕にとっては学生の頃の秋を象徴した1枚である。このアルバムを聴いただけで、あの頃に戻ることができる。その中でも、"Get It Right the First Time"は少しだけ雲行きが怪しくなってきた僕の学生生活の中で、ささやかに励ましてくれた曲としても忘れ難い。とはいえ、やっぱり第一印象が重要なんだなあと様々な経験を積んでいく中で学んでいったのだけれども。