SIM's memo

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一期一曲(34)

Steely Dan "Doctor Wu"(1975)
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 Steely Danはするめみたいなバンドである。聴けば聴く程味わいが深くなる。はじめて聴きはじめた時から20年以上経ってもなお、新しい発見がある。その中でも、はじめてSteely Danを聴いたアルバムが「うそつきケイティ」の邦題がつけられている"Katy Lied"に収録されているこの曲がたまらなく好きだ。
 
 派手さはない曲である。けれども、ピアノ(たぶんMichael Omartian)・ベース(Chuck Rainey)・ドラムス(Jeff Porcaro)のアンサンブルが終盤に向かって徐々に激しくなってくる。この緊張感がたまらない。わずか4分余につめこまれた魔法のような楽曲。"Katy Lied"を象徴するような一曲である。
 
 "Katy Lied"というアルバムは決して大作ではない。けれども、名うてのミュージシャンをうまくさばき、使いこなしながらも、バンドの形態をもなんとか壊さないでやっていこうとしているところが特徴である(だから、裏ジャケットを見ると、主要メンバーの顔写真がある)。これを中途半端という人もいるかもしれない。けれども、完璧主義ともいえるスタジオ・ワークとバンドにしかだせない緊張感がないまぜになった過渡的なアルバムとして、他のSteely Danのアルバムにはない魅力を今なお輝きつづけている。
 

うそつきケイティ(紙ジャケット仕様)

うそつきケイティ(紙ジャケット仕様)