SIM's memo

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一期一曲(40)

The Isley Brothers "If You Were There"(1973)
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 半世紀余りのキャリアを通じて、1970年代におけるThe Isley Brothersはとにかくスゴかった。何がスゴいって、ファンキーでありグルーヴィーでありメロウであり、そしてポップだった。R&Bというジャンルの垣根を軽々と越えて、かれらは燦然と輝いていた。その輝きを象徴しているように感じるのがこの曲。Sugar Babeの"DOWN TOWN"のイントロの元ネタとして、知る人ぞ知る曲でもある。もしかしたら、WHAM!のversionの方が有名かもしれない。けれども、個人的には断然オリジナルである。
 
 冒頭のクラヴィネットの音とドラム・パターンの絡みが気持ちがいい。ファンキー&グルーヴィー&メロウ&ポップという要素のすべてが詰め込まれている。そこへロナルド・アイズレーの湿り気と色気のあるヴォーカルが入ってくる。これがたまらない。そしてラストのコーラスもまたよし。音づくりの骨格は基本的にシンプルなのだが、シンプルであるが故に、これを完成度の高いものへ仕上げていくのは難しい。わずか3分20秒あまりでこれを聴かせるのだから、恐れ入った。本来ならば、もっと長くても文句は言われないはず。けれども、かれらは程よい尺で仕上げた。これもThe Isley Brotherの魅力だ。
 
 この曲をはじめて聴いたとき、狂ったように毎日聴いていた。そして聴きながら、アルバイト先である某菓子メーカーの倉庫へと向かっていった。この曲を聴くと、その時のことを思い出す。あまりにも不釣り合いで笑ってしまいそうだけれども。
 

3+3(紙ジャケット仕様)

3+3(紙ジャケット仕様)