蚕の世話をする
新しい桑の葉にちょっとだけテンションがあがった蚕(たぶん)
仲間のデザイナーが東京へ泊りがけの出張があるとのことで、彼女が世話をしている蚕の面倒を見ることになった。
人並みよりもちょこっと蚕の生体について詳しいと自負しているのだが、いかんせん、蚕の面倒をみるのは数年ぶりくらいなのとやはり生き物なので、結構気を遣っている。とはいえ、室内の温度が比較的高いこと、風通しを気にすること、そして新鮮な桑の葉を与えること、この3つを気をつければ蚕はすくすくと成長する。
僕が預かっている蚕は蚕齢*1でいうと「4齢」。孵化して約2週間余だろうか。「眼状紋」と呼ばれる部分、ちょうど新幹線の先頭車両の窓みたいな部分がはっきりしてくるのが特徴。ごはんとなる桑の葉を朝夕2回あげる。
ちなみに、蚕は桑の葉しか食べない。それしか興味を示さないのが面白い。
蚕は、写真を見ていただければおわかりのように、真っ白である。撫でてみると、とても柔らかくぷにぷにしていて、まさにシルク。これが糸を吐く準備ができてくると、黄色く透き通ってきて、桑の葉を食べなくなる。そして糞尿を出し切ると、糸を吐きはじめる。あと10日余でなるだろうか。
ところで、葉っぱを交換してほどなく、蚕が糞を出す瞬間に立ち会えた。
糞を出そうと頑張って・・・
ヨイショっと!(橘家圓蔵を偲んで)無事ころっとした糞がでた。
これを手などにぬると、ニベアのような効能があるそうな。
幕末から明治期にかけ、日本の殖産興業を支えた蚕。人々との付き合いは5000年以上になる。蚕を数えるときは「匹」ではなく「頭」。「お蚕様」とも呼ばれ、家畜として大切に育てられてきた。なので、ふつうの虫とはちょっと雰囲気が違う。眺めているとあっという間に時間が経つ。
今日夕方に帰ってくるデザイナーに届けてくる。彼女は昨夜、蚕を心配してメールをよこしてきた。さぞかし会いたいのだろう。ペットみたいなものだから。
*1:蚕の発育状態を示す目安のこと