Gozo & Dylan(Part Ⅱ)
21世紀のAmerican Popular Musicを奏でているDylan
今月(4月)に入って、日本の主要都市でツアーを行ってきたDylan. 一緒に行ったM氏から予めset list&音源を送ってもらっていたので、だいたいこんな感じの曲をやるんだなーとはわかっていた。けれども、月並みな表現だが、生演奏による音の塊を受けながら聴くのは驚きだ。Dylan版ムード歌謡といったテイストの曲も結構あったのだが、基本的にはRock 'n Roll. 月日の流れとともに姿形は違えども、半世紀前にacousticではなくelectric guitarを持ってステージに現れた時とbaseは何ら変わっていない。それがわかったのが、まず嬉しかった。
変わっていないというのは、何も進化も変化もないということを意味しているのではない。これは、アンコールでやった"Browin' in the Wind"を聴いてもらうとわかるはずだ。しゃがれた声で「これ、新曲なんだけど聴いて」と言われてもまったくわからない。2016年時点での"Browin' in the Wind"。その時々で最新の音楽潮流をとらえながら、再解釈する。Dylanほど接頭辞の"re"が似合う人はいない。
時空を往還する軽やかさ
吉増剛造とBob Dylan二人に共通しているなあと感じたのは、今ある地点を軸に過去と未来を自由に往還している点だ。その姿はとても軽やかに見えた。これを円熟という言葉で片付けるのは違う。大きく息を吸い込んで、ゆっくり息を吐くように言葉を奏でる2人。かれらの身体から発せられる力を同じ空間で共有できたのは、何よりも得難い経験だった。この2日間の出来事を、僕はゆっくりと今整理している。そうしないと、次に進めないような気もしている。
Dylan Revisited ~All Time Best~(完全生産限定盤)
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