SIM's memo

Books, Foods, Rock 'n' Roll…and more!

一地方で書籍をつくること

 ご無沙汰しております。お元気ですか?12月になりました。早いものです。これから、忘年会やらクリスマスやら、大掃除に正月の準備で忙しく突っ走っていくと思うと、12月もあっという間に過ぎそうですよね。
 
 そんな訳で、この時期になると、いろいろと振り返りたくなる衝動に駆られます。「振り返りたくなる」と書きましたが、厳密に言えば、今やっている仕事について文字(客観)化したい、ということです。
 ところで、いきなりですが、地方で書籍をつくるとは一体どういうことなのでしょうか?私は書籍の編集を主に生業としているので、ここ1年ずっとこのことが頭の片隅に居続けていました。なぜか?基本的に、地方で書籍出版のみで営業するのはかなり厳しいのが現状です。僕が在籍しているところでは、書籍の売り上げは会社全体の1割です。この割合は、年間の出版数が20冊にも満たないという現状を考慮しないといけない割合です。
 とはいえ、販路がどうしてもその出版社のある地域がメインとならざるを得ないことを考えると、限られた読者数の中、いかに書籍を手にしていただくかは死活問題です。じゃあ、販路を拡大すればいいだけじゃないの?とご指摘されそうですが、体力があまりない出版社では、販路を拡大するだけの資金を準備したくても簡単にできないという現実もあります。さらにいえば、人員不足と高齢化問題という点も挙げられます。一地方で書籍を出版するという商売は、決して儲かりません。
 
 では、このまま指をただくわえたまま、黙ってこの斜陽ともいえる一地方での出版活動を見守っていくのか?答えは「ノー」です。1冊の書籍をつくるのに、複数の他の出版以外の仕事をしなくては予算が確保できません。そんな中で、情熱の炎を絶やすことなく、灯し続けなければならないためには、ぼく自身が日々の勉強を怠らずに続けるしかありません。その中で、僕自身が「楽しい」「面白い」など、いまいる地域の文化を「編集」し、面白くてなんだかワクワクするという気持ちを持ってもらえるものを皆さんにお渡しすることが、一地方で書籍をつくることの意義だと思う訳です。そのためには、常に謙虚に学んでいくしかないなあと痛感してます。
 
 この1年いろいろと考えては立ち止まり、また少しずつ歩いては立ち止まるの連続でした(今もそうです)。その中で、多くの方々と出会ってお話し、さまざまな書籍との対話から学んでいくしかない。そういう覚悟がいままではあまりできていなかったのですが、今年はそんな覚悟ができてきたと思えたように感じてます。
 
 ・・・こんなことを書くと、もう2017年が終わっちゃうような感じがしますね。まだあと31日あります。世間では働き盛りと言われる年齢になったのですが、揚げ物が食べたいと思えなくなったことで「老い」の芽生えを自覚しました。そんな訳で、今年も年末あたりに、積読状態書籍アワードを開催します。