SIM's memo

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輝く!積読状態の書籍アワード2017(上)

 毎度のことながら、今年もあっという間に年の瀬となり、年末恒例の積読状態の書籍から振り返る時期が来てしまいました。
 2017年に購入した書籍は142冊。昨年より4冊多かったです(昨年より多く買っていた感じがしたんですけどね)。そのうち、積読状態の書籍は55冊。昨年よりも20冊以上少なく、約39%が買ったのに読んでないことになります。そう考えると、今年は昨年よりも買った本をちゃんと読んでいたんたなあと思ってもいます。
 さてその中から、今年購入した積読状態の書籍の中でどれがアツかったを各部門別にノミネート4〜5作品ずつ挙げて決めようかなと思います。
 

なんだかんだで、結局「人間」が好きなのかもしれない

 いっとき、「人間」にまつわる書籍に面白味を感じられなくなっていたのですが、今年は気づいたら人そのもの、あるいは文化人類学/精神史的なものを多く購入していました。少しはこころに余裕ができてきたということでしょうか。そんな中、選んでみたのは・・・

ボーリンゲン:過去を集める冒険 (高山宏セレクション“異貌の人文学”)

ボーリンゲン:過去を集める冒険 (高山宏セレクション“異貌の人文学”)

まさかこの書籍が翻訳されるとは夢にも思わなかったので選びました。この書籍への個人的思い出は、20年前までさかのぼります。当時『ユリイカ』の特集号で山口昌男高山宏氏の巻頭対談が掲載されていて、高山氏が本書が人と人がいつどこで出会ったしか書いてないと紹介していたのが強く印象に残っていました。あれから幾星霜、書籍の売り上げが年々減少している中、今こそ人と人との出会いの精神史の重要性を再確認する時なんだなあ、という思いを強く持った次第です。
 

一応、今年も小説も買ってみたんだけど

 今年も小説はあまり買わなかったし、読んでこなかったのですが、それでも「これは買わなきゃなあ」と思ったのはいくつかありました。そんな中、選んでみたのは・・・

昨年秋、ついに後藤明生の全集的シリーズが出版され、今年無事すべて刊行することができたのは、個人的にはかなりの「事件」でした。後藤明生が生きていた時代を知らない若い人たちが、後藤明生を「再発見」し、改めてその現代性を確認できたことは、とても喜ばしいことだと思ってます。個人的には、後藤明生の小説は20代の辛かった肉体労働時代に降り注いだ慈雨でしたので選ばせてもらいました。
 

「現実」という鏡を磨くこと

 先ほど、「人間」にまつわる書籍が・・・というお話をさせてもらいましたが、結局は「現実」に生きる人間たちを写した書籍は、ずーっと読み続けてきたんですね。その中で、心を揺さぶられたり、怒りを感じたりしながら、あれこれと抱いた思いを心に刻み続けてきたんだなあ、なんて思い直したりしました。そんな「現実」という鏡を見事に磨いていると(個人的に)感じられた書籍は・・・

捨てられないTシャツ (単行本)

捨てられないTシャツ (単行本)

昨年同様、また都築氏の書籍を選ばせてもらいました(好きだから仕方がない)。いっとき、ポール・オースターがラジオ番組のために市井に生きる人々が織りなす物語を集めた『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』と題した書籍が話題となりました。都築氏のそれは、その書籍と似て非なるものです。Tシャツはモノなので具体的です。そこに、汚れてヨレヨレになりながらも、着ていた人たちの「物語」が染み込んでいます。そこを軽やかに編集しているのが、いかにも都築氏らしいな、と未だ読んでいない本書を手にとりながら思っております。(続く)