輝く!積読状態の書籍アワード2017(下)
建造物は人間の英知が凝縮されている
- 吉田敬子『のこぎり屋根紀行』(上毛新聞社)
- 白井綾『長崎の教会』(平凡社)
- 藤森照信『日本の近代建築(上・下)』(岩波新書)
- 五十畑弘『日本の橋』(ミネルヴァ書房)
- 佐滝剛弘『登録有形文化財』(頸草書房)
仕事柄、建造物に対する興味・関心は常に持ち続けています。ですので、どうしても書籍もその手のものに目がいって、財布と相談しながら気になった書籍は購入するようにしてます(『登録有形文化財』は制度はもちろんですが、明治期以降の建造物を「文化財」の名のもとに価値を担保しているカタログとして関心を寄せています)。そんな中、選んだ書籍は・・・
- 作者: 吉田敬子
- 出版社/メーカー: 上毛新聞社 出版部
- 発売日: 2016/11/24
- メディア: 新書
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どれにしようか正直迷ったのですが、僕が住むところの隣県である群馬県の文化に特化した切り口で数多くの良書を出版している上毛新聞社に敬意と羨望と嫉妬をこめつつ選ばせていただきました。のこぎり屋根は採光のためにあの独特の屋根になった建物ですが、著者は全国に残るのこぎり屋根とその背後にある歴史を逍遥しています。書籍に使っている紙の厚みが独特なので、一度手にしたら忘れられない一冊となりそうです。
今年も図録を書いましたよ
- 壬生町立歴史民俗資料館 編『鳥居元忠』(2017)
- 山梨県立博物館 編『葡萄と葡萄酒』(2016)
- 那須野が原博物館 編『近代シルク物語』(2012)
- 白山眞理・堀宜雄 編『名取洋之助と日本工房[1931-45]』(毎日新聞社、2006)
- 足利市立美術館 編『涯テノ詩聲 詩人 吉増剛造展』(2017)
今年も展覧会にはポツリポツリと見にいったのですが、どうしても図録目当てに訪れてはただ購入するのみ、というのが数多くありました。そんな中、個人的に一番気に入っているのは、『涯テノ詩聲 詩人 吉増剛造展』でした。
ずしりとした重みのあるこの図録は、現時点での吉増剛造のこころとかたちを具現化しているといっても過言ではありません。本図録に寄せている論考の充実ぶりもさることながら、本人の作品と吉増が影響を受けてきた人たちの作品も併せて紹介されているところに、本図録が吉増剛造という詩人のポートレートにもなっていると思います。2018年4月27日から沖縄県立博物館・美術館で、8月11日からは東京都渋谷区立松濤美術館でも巡回します。ぜひ本図録を手にしてみてください。
そんな訳で年間積読状態の書籍は・・・
- 作者: 米川明彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/12/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書籍は、読もう読もうと思って、年初に購入していたのに、結局1年近く本棚の肥やしにしてしまいました。「辞典」と銘しているので、どこから読んでも楽しいのでしょう、きっと。
そんな訳で、毎年最後に選ぶ書籍が個人的にはいまひとつと思っているのですが、今年もいまひとつ感が否めません(書籍のすばらしさは言うに及ばずですよ)。今年も残りあとわずか。皆様、素敵な年の瀬をお過ごしください。本年もありがとうございました。