SIM's memo

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梅見月漫読記

 いつも三日坊主ならぬ一回坊主である小生が、2回目もこうして記すことにわれながら驚いている。そして、リズムをつくることの大切を実感している。いずれにせよ、2月はリズムをうまくつくれずにいたような気もしていると述べたところで、早速列挙していこう(以下、著者(訳者・編者名)『タイトル』(出版社):読了日を明記)。

  1. 都築響一『ヒップホップの詩人たち』(新潮社):2月3日
  2. 義江彰夫神仏習合』(岩波新書):2月5日
  3. 伊藤 聡『神道とはなにか』(中公新書):2月5日
  4. 芸術新潮編集部(編)『神々が見える神社100選』(新潮社):2月7日
  5. 本田不二雄『ミステリーな仏像』(駒草出版):2月11日
  6. レイモンド・チャンドラー村上春樹訳)『プレイバック』(早川書房):2月20日
  7. レイモンド・チャンドラー村上春樹訳)『リトル・シスター』(ハヤカワ文庫):2月23日
  8. レイモンド・チャンドラー村上春樹訳)『高い窓』(ハヤカワ文庫):2月24日
  9. レイモンド・チャンドラー村上春樹訳)『大いなる眠り』(ハヤカワ文庫):2月25日
  10. レイモンド・チャンドラー村上春樹訳)『ロング・グッドバイ』(早川書房):2月28日

 
 1は、小生の目標であり勝手にリスペクトしている著者の汗と情熱がいっぱいつまった素敵な一冊。内容は結構ヘヴィーなものもあるのだが、それがうまく読めるのは取り上げているラッパーたちと都築氏との距離感がなせた技なのだろう。
 2から5は、目下取り組んでいる仕事がらみで読んだもの。2はいささか難しいところもないではないが、神仏習合のポイントがわかりやすく書かれている。3と4は一度読んでいるのだが、3は途中で挫折して売却→また買い直すというわが黄金パターン、4は本書の出来のよさに嫉妬混じりで読んでいたので、内容がうまくわからないままだったので、関連仕事をはじめたのを機に再読。
 ところで、3の著者が終章末尾で次のように述べている。

現代の神道の信仰の姿が、一見素朴に見えたとしても、それは古代のプリミティブな自然崇拝の残存ではない。それは、中世・近世・近代における神道の形成・展開過程において、再解釈・再布置された結果として装われた素朴さであり「古代」なのである。なぜなら、仮構された〈固有〉性への志向こそが、神道の基本的性格なのだから。

僕はこの箇所を読んで衝撃を受けた。それと同時に、とても腑に落ちた。とりわけ、「仮構された〈固有〉性への志向」という言葉に、一種のファンタジーとしての神社、そして僕たちが今なお神社(御朱印)巡りの本質があると思っているし、人は「仮構された〈固有〉性」に心惹かれるのだから。
 5は昨年(2017)出版早々話題になった一冊。たまたま、今調べている神社が所有している文化財が掲載され、俄然興味を惹かれ購入。仏像の奥深さにくらくらしつつ、中身の濃さにお腹いっぱいになってしまった。
 6〜10は、毎年必ず再読しているチャンドラー。精神的に疲れて、心を無にしたくなり読みはじめた。毎回読む度に新たな発見があり、読んでいてワクワクしてしまう。そして、今回もじっくりゆっくり味わいながら読んだ。まさに至福のひとときだった。しかし、今回10を読んでいて、主人公フィリップ・マーロウの年齢がなんと小生と同じだったことに気づき愕然とした。オトナな印象を抱いていたから、自分がマーロウの年齢になっていて、そこからまったく成長していないなあ、と思ったからだ。とはいえ、10でのマーロウはいささか子供っぽい。これは悪い意味でなく、自らの信念を曲げずに愚かだとわかっていても突き進む姿に、多くの人たちを魅了してきたのだろう。せめて、小生もマーロウのような不器用だけど信念をもって生きたいと改めて思った。
 
 そんな訳で、3月もちゃんとここに書けるように読んでいこう。

★2月で面白かった(というか印象深かった書籍は)こちら。

ヒップホップの詩人たち

ヒップホップの詩人たち

信念があるという点では、マーロウもラッパーの皆さんも共通している。だから面白い。