SIM's memo

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僕の平成史(4)〜友人の死と「幻想」〜

 平成4(1992)年、高校2年になる。11月、高校で数少ない仲の良かった友人がバイク事故で亡くなる。相手の過失が原因だった。そして、時をほぼ同じくして、当時好きだった女の子に振られた。
 この頃のことを思い出す度に、私はオフコースの「幻想」(1975年)という曲が脳内に流れてくる。作詞は小田和正、作曲は鈴木康博。この曲にこんな歌詞がある。「傷つき合いながら/互いになにもできなかったのは/ただてれていたから/それだけじゃないだろう/ああ いっさいの世界に目をつぶって/みんなを 包めればいいのに/愛がすべてじゃないにしても」。
 今でもここの部分を口ずさむと胸が熱くなり、なんとも言いようのない感情にとらわれる。ちなみに、2回目のサビでは「ああ いっさいの言葉に目をつぶって/みんな 信じ合えればいいのに/愛がすべてじゃないにしても」である。
 この曲が私の脳内で流れている時間は、これから生き続けられたであろう亡くなった友人の時間のことを思ってしまう。しかしそれは「幻想」にすぎないとわかっていても。
 
 あれからちょうど四半世紀が経とうとしているのに、「幻想」を聴くとあの頃の空気が一気に立ち昇ってきて、私の周囲を包み込む。どんなに時間が経とうとも、この空気感だけはアップデートされず、四半世紀前の、あの時のままである。(続)
 

ワインの匂い

ワインの匂い