SIM's memo

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思い出すことなど(3)

 「青春」とはいったい何だろう?その手の本は数多でているけど、その手のものを読んだところで、個人個人によって「青春」の定義は異なる。70代の方が「今が青春なんだよ」と言われれば、同意するしかないんだし、20代前半の人が「私の青春はとっくに終わってる」と言えば、「そんなことないでしょ?まだまだ若いんだから…」と言われるのが関の山である。とにかく、「青春」っていう言葉は定義しにくい。十人十色、蓼喰う虫も好き好きなのである。
 
 ぼくにとって「青春」がはじまった日のことはよく覚えている。7月10日。19歳の時だ。この日から8月いっぱいまでがぼくにとっての「青春」のすべてだ。あとは20代、30代へと緩やかに転がっていくだけだった。7月10日、この日にぼくは友人4人と浅草の花やしき、そして水上バスに乗って浜離宮を経由して終点の竹芝桟橋で降り、浜松町に住んでいた友人の家に行った。ただそれだけのことである。しかしあの時の雨露を照らした陽の光、梅雨明け直前のもわーんとした匂い、友人たちの笑い声。すべてが遠く彼方へと霧散してしまった。だけど、あの日からはじまった最高の日々こそ、ぼくにとって二度と味わうことのできない毎日だった。

 あの時の友人とは、卒業以降一度もあっていない。