SIM's memo

Books, Foods, Rock 'n' Roll…and more!

2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

一期一曲(30)

Eric Clapton "Let It Grow"(1974) 長らく薬物中毒の闇にのまれていたClaptonの起死回生の1枚として世に出た"461 Ocean Boulevard"の中でも、いっとう美しい曲が"Let It Grow"。淡々とうたうClaptonの声が深まりゆく秋にぴったりである。ジャケットは、ア…

一対他の世界 ─『きょうの猫村さん』を読む(1)─

えー、皆さんはじめまして。数年前、志賀直哉の『暗夜行路』における主人公とその妻との関係について、ジョン・バースのエッセイをモチーフに語ったことがありました*1。今回は、最近ふたたび読み返した漫画をとりあげようと思ってます。その漫画とは『きょ…

一期一曲(29)

Manassas "Johnny's Garden"(1972) Stephen Stillsというミュージシャンは実に多彩な人である。彼の魅力が一番よくわかるアルバムといえば、Manassas名義で発表されたアルバム"Manassas"に指を屈する。ラテン・フレーバーあふれるロックからカントリー、ア…

一期一曲(28)

The Flying Burrito Brothers "Older Guys"(1970) Country Rockを語る上で最も重要なバンドといえば、The Flying Burrito Brothersである。とりわけ、死してなお影響力を放ち続けるGram Parsonsが結成したバンドとみなされているからなおさらである。 A&M…

一期一曲(27)

The Housemartins "Flag Day"(1986) 1980年代の洋楽はそんなに聴いてこなかった。それ程いいとは思わなかったし、何よりも1960年代のエネルギーに満ちあふれた"Rock"がもう見いだせなくなっていたと思っていたからだ。しかしながら、たまたまふと手にしたT…

心情的テロルと詩的想像力(3)

酔蜂和田久太郎がその短い生涯の中で俳句をつくっていた時期というのはわずか10年足らずだっただろうか。とりわけ、戒厳司令官福田雅太郎大将の襲撃に失敗して捕まってから、昭和2(1927)年に出版された『獄窓から』という文集には、俳句のみならず…

一期一曲(26)

The Millennium "It's You"(1968) 1960年代半ば、ちょっとアップテンポでwarmfulなサウンドを特徴とした"Sunshine pop"なるジャンルがCaliforniaあたりで生まれた。この馴染みの薄いジャンルの代表としてThe Millenniumというグループははずすことができな…

一期一曲(25)

Buffalo Springfield "For What It's Worth"(1967) Buffalo Springfieldはその活動期間がわずか3年余にもかかわらず、かれらがロックの歴史に残した痕跡はあまりにも大きかった。かれらといわず、アメリカン・ロックにおけるエポック・メイキングになった…

心情的テロルと詩的想像力(2)

労働運動社で大杉栄とともに行動していた村木源次郎が、雑誌『改造』の大杉栄追悼特集の中で「どん底時代の大杉」を書いている。その中で、大杉と伊藤野枝たちの遺児で長女であるマコ(魔子、当時7歳)におくった童謡も綴っている(『祖国と自由』第1巻第…

一期一曲(24)

The Byrds "Chestnut Mare"(1970) The Byrdsというバンドは、その時々によって音楽的スタイルを劇的に変化させていった稀有なグループだった。デビュー当時は、The Beatlesの初主演映画"A Hard Day's Night"でGeorge Harrisonが抱えていた12弦ギターに触発…

心情的テロルと詩的想像力(1)

今から91年前の1923(大正12)年9月1日午前11時58分、相模湾北西沖80kmを震源とするマグニチュード7.9の地震が発生した。いわゆる「関東大震災」である。この地震の混乱に乗じて、大杉栄、伊藤野枝らを殺害した報復として、当時の戒厳司…