SIM's memo

Books, Foods, Rock 'n' Roll…and more!

2014-01-01から1年間の記事一覧

積読状態の書籍で振り返る2014年

なんだか2014年があっという間に過ぎていってしまうと感じるのは、年齢のせいなのだろう。気がつけばもう大晦日。毎年、拙ブログで我が読書を振り返っているが、今年は視点を変えて、2014年に購入し積読状態のままだけれども、気になっている書籍を…

一期一曲(39)

Billy Preston "Nothing from Nothing"(1974) Beatles好きにとって、Billy Prestonというピアニストは忘れられない人である。メンバー間の険悪なムードの中おこなわれた"Get Back"sessionsで、ファンキーなエレクトリック・ピアノを奏でていたのがBillyで…

刹那的だと言われて

友人から「SIMさんは刹那的だからなあ…」と言われた。 これを聞いたとき、思わず考え込んでしまった。 せつなてき【刹那的】 1 時間が極めて短いさま。 2 あと先を考えず、今この瞬間だけを充実させて生きようとするさま。特に、一時的な享楽にふけるさま…

年末恒例行事がやってくる

師走に入り、今年も恒例行事のための準備に取りかからなくてはならなくなる。年末に収録する音楽番組(AMラジオ)で紹介するための選曲だ。気がつけば、今年で4回目。一介の素人に4回もゲストとして招いてくれるパーソナリティーのMさんに感謝しなくては…

一期一曲(38)

The Style Council "The Lodgers (or She Was Only a Shopkeeper's Daughter)"(1985) 1985年の初夏に発売された"Our Favourite Shop"は、The Style Councilの最高傑作と呼ぶに相応しいアルバムであり、当時のイギリスを代表するアルバムでもある。個人的に…

一期一曲(37)

The Smiths "This Charming Man"(1983) The Smithsというバンドは、よくも悪くも(というかそれが全てなのだが)ヴォーカルのMorrisseyとギターのJohnny Marrというふたりの個性による花火をエネルギーとしていたなあと思う。そして、Morrisseyの書くひね…

記憶の結晶

昨日の午前、そぼふる雨の中、戦争体験者の証言を録るためにとある女性の方のお宅へうかがった。その方は大正14(1925)年生まれだから、今年で89歳。ご自宅の急な階段をすいすい昇っていく姿に僕が呆然としていると、「いつも昇っているから元気な…

一期一曲(36)

Buzzcocks "Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn't've)"(1978) 1970年代中頃よりアメリカとイギリスでほぼ同時に起こったPunk Movementの中でひときわ異彩を放っていたのが、イギリスのバンドであるところのBuzzcocksであろう。かれらを見れば…

一期一曲(35)

Average White Band "Cut the Cake"(1975) スコットランドといえば、ウィスキーにタータン、そしてソウル(リズム&ブルース)である。あまり知られていないが、スコットランドではソウル(リズム&ブルース)がかなりもてはやされていたという。その中で…

一期一曲(34)

Steely Dan "Doctor Wu"(1975) Steely Danはするめみたいなバンドである。聴けば聴く程味わいが深くなる。はじめて聴きはじめた時から20年以上経ってもなお、新しい発見がある。その中でも、はじめてSteely Danを聴いたアルバムが「うそつきケイティ」の邦…

思い出すことなど(15)

先日、実家に帰った時、高校の学校誌が雑然と置いてあるのをみつけた。手にとり中身を読んでみると、創立90周年記念でいつもの年よりも少し厚めの仕上がり。各クラスごとにテーマを与えられ論文のようなエッセイのようなものを寄稿してあった。目次を見る…

一期一曲(33)

The Beatles "Revolver"(1966) ここでは、ある1曲をめぐってあれやこれやを綴っているが、今回だけはアルバム1枚すべてをとりあげたい。というのも、ちょうど26年前の今日、生まれて初めてアルバムを購入したのが"Revolver"だったからだ。 この年の夏、父…

一期一曲(32)

Billy Joel "Get It Right the First Time"(1977) Billy Joelの曲は、はじめて聴いた時からどこか懐かしさが漂っていた。おそらく、リアルタイムで聴いていた人にとってもそうだったのかなあと想像する。とりわけ、かれの代表作ともいえるアルバム"The Str…

一対他の世界 ─『きょうの猫村さん』を読む(2)─

『きょうの猫村さん』の世界像 『きょうの猫村さん』3巻をお話する前に、この作品の世界像を見ておきましょう。身よりのない猫だった「猫村ねこ」(以下、猫村さんと略す)が、以前飼われて家のぼっちゃんに躾けられた家事全般の能力を見込まれて、たまたま…

一期一曲(31)

Bay City Rollers "Rock n' Roll Love Letter"(1976) 時の経過とともにふりかえってみると、音楽的によかったんじゃないかなあと思うバンドがいる。個人的には、その代表格がBay City Rollersである。その中でも、今回とりあげる"Rock n' Roll Love Letter…

一期一曲(30)

Eric Clapton "Let It Grow"(1974) 長らく薬物中毒の闇にのまれていたClaptonの起死回生の1枚として世に出た"461 Ocean Boulevard"の中でも、いっとう美しい曲が"Let It Grow"。淡々とうたうClaptonの声が深まりゆく秋にぴったりである。ジャケットは、ア…

一対他の世界 ─『きょうの猫村さん』を読む(1)─

えー、皆さんはじめまして。数年前、志賀直哉の『暗夜行路』における主人公とその妻との関係について、ジョン・バースのエッセイをモチーフに語ったことがありました*1。今回は、最近ふたたび読み返した漫画をとりあげようと思ってます。その漫画とは『きょ…

一期一曲(29)

Manassas "Johnny's Garden"(1972) Stephen Stillsというミュージシャンは実に多彩な人である。彼の魅力が一番よくわかるアルバムといえば、Manassas名義で発表されたアルバム"Manassas"に指を屈する。ラテン・フレーバーあふれるロックからカントリー、ア…

一期一曲(28)

The Flying Burrito Brothers "Older Guys"(1970) Country Rockを語る上で最も重要なバンドといえば、The Flying Burrito Brothersである。とりわけ、死してなお影響力を放ち続けるGram Parsonsが結成したバンドとみなされているからなおさらである。 A&M…

一期一曲(27)

The Housemartins "Flag Day"(1986) 1980年代の洋楽はそんなに聴いてこなかった。それ程いいとは思わなかったし、何よりも1960年代のエネルギーに満ちあふれた"Rock"がもう見いだせなくなっていたと思っていたからだ。しかしながら、たまたまふと手にしたT…

心情的テロルと詩的想像力(3)

酔蜂和田久太郎がその短い生涯の中で俳句をつくっていた時期というのはわずか10年足らずだっただろうか。とりわけ、戒厳司令官福田雅太郎大将の襲撃に失敗して捕まってから、昭和2(1927)年に出版された『獄窓から』という文集には、俳句のみならず…

一期一曲(26)

The Millennium "It's You"(1968) 1960年代半ば、ちょっとアップテンポでwarmfulなサウンドを特徴とした"Sunshine pop"なるジャンルがCaliforniaあたりで生まれた。この馴染みの薄いジャンルの代表としてThe Millenniumというグループははずすことができな…

一期一曲(25)

Buffalo Springfield "For What It's Worth"(1967) Buffalo Springfieldはその活動期間がわずか3年余にもかかわらず、かれらがロックの歴史に残した痕跡はあまりにも大きかった。かれらといわず、アメリカン・ロックにおけるエポック・メイキングになった…

心情的テロルと詩的想像力(2)

労働運動社で大杉栄とともに行動していた村木源次郎が、雑誌『改造』の大杉栄追悼特集の中で「どん底時代の大杉」を書いている。その中で、大杉と伊藤野枝たちの遺児で長女であるマコ(魔子、当時7歳)におくった童謡も綴っている(『祖国と自由』第1巻第…

一期一曲(24)

The Byrds "Chestnut Mare"(1970) The Byrdsというバンドは、その時々によって音楽的スタイルを劇的に変化させていった稀有なグループだった。デビュー当時は、The Beatlesの初主演映画"A Hard Day's Night"でGeorge Harrisonが抱えていた12弦ギターに触発…

心情的テロルと詩的想像力(1)

今から91年前の1923(大正12)年9月1日午前11時58分、相模湾北西沖80kmを震源とするマグニチュード7.9の地震が発生した。いわゆる「関東大震災」である。この地震の混乱に乗じて、大杉栄、伊藤野枝らを殺害した報復として、当時の戒厳司…

思い出すことなど(14)

先日、論文のための参考文献として図書館で借りた書籍をぺらぺらめくっていたら、上の写真のように青春18きっぷが出てきた。日付を見ると、どうやら平成22年の夏に購入したようである。購入した駅名が僕の両親が住む町の最寄り駅だった。そしてやっぱり…

一期一曲(23)

The Doobie Brothers "South City Midnight Lady"(1973) 1973年に発表されたThe Doobie Brothers3枚目のアルバム"The Captain and Me"といえば、"Long Train Runnin'"だし"China Grove"である。どちらも人気の高い曲である。しかし、僕にとってはそのどち…

一期一曲(22)

Free "My Brother Jake"(1970) Freeというバンドの音楽的傾向を見ると、今回取り上げた曲はかなり異色に聴こえるかもしれない。一般にFreeと言えば、"Fire and Water"に代表されるようなbluesあるいはboogie等のroots rockをかれらなりに解釈したrockを得…

一期一曲(21)

Creedence Clearwater Revival "Lodi"(1969) Creedence Clearwater Revival(CCR)は60'sから70's初頭のアメリカン・ロックシーンにおいて、名実ともに最高のバンド(という言い方が似合う)だったと思う。7枚出したアルバムの中では、個人的には3枚目のア…