SIM's memo

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思い出すことなど(9)

 久しぶりに渋谷駅から京王井の頭線に乗った。車両のデザインは相変わらずで、ちょっと懐かしさがこみ上げて来た。京王井の頭線で思い出すことが二つある。ひとつめは、1回目の大学入学間もない頃。新歓コンパに参加するために京王井の頭線渋谷駅へ降り立った僕は、そこであろうことか財布を落としてしまった。そのことに気づいたのは、新歓コンパが終わった時。落ち込む僕。下宿へ戻ったら、実家から電話があり、「あんた、渋谷駅で財布落としたでしょ?」とのこと。聞くと、駅改札口で財布が落ちていたのをどなたかが拾って下さり、駅員さんに届けたとのこと。連絡先がわかるものが、献血手帳しかなく、そこに実家の住所と電話番号が記載されていたので、駅員さんが実家へ連絡して下さったというのが顛末であった。後日、財布を受取に行くと、お金など一切抜き取られていなかった。当然ながら親には怒られたが、僕の中では京王井の頭線の渋谷駅を利用している人たち(と駅員さん)に、よくわからない全幅の信頼を置いてしまった。
 
 ふたつめの思い出。明大前駅で当時付き合っていた女性と吉祥寺行の電車を待っていたら(彼女の家が吉祥寺にあった)、小学生の男の子が僕に「吉祥寺行はここでいいんですか?」と聞いてきた。結構な人がいる中で、よりによって何故オレに声をかけて来た、小僧?と思ったが、まあいいやと思った。聞くと小僧も吉祥寺までいくとのことなので、一緒に行くことにした。覚えているのが、待っている間、駅ホームに売っていたHIROTAのシューアイスを小僧と彼女に買ったこと。彼は今成人して社会人になっているのだろう。そう思うと、月日の流れというのは、ウォータースライダー並に速いのかもしれない。
 
 京王井の頭線沿線は思いのほか、思い出が多いかもしれない。しかもすべて霞がかった懐かしいものばかりだ。あの頃は一番幸せだったのだろうか?あまりそう思いたくないけれども、思い出すとそう思っちゃうのは、なんだかせつない。
 今日で7月が終り。明日から、本格的な8月の暑さがはじまる。嫌いじゃないけど、懐かしさもせつなさもあまり感じられない8月は思ったよりも好きじゃないのかもしれない。