SIM's memo

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ケガれたこころを洗う

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    神の恩寵が光となってふりそそぐステンドグラス
 
 写真撮影のお願いと下取材のため、日光東照宮からほど近い日本聖公会 北関東教区 日光真光教会を訪れた。

 快晴の午前中、まず10年振りに足尾へ行ってから、こちらの教会に行った。日光真光教会が属する日本聖公会は、英国国教会系の教会で、信徒数は約3万5千人、教会数は全国に約300あるとのこと。出かける前の神父さんにお会いし、趣旨を書いた紙と名刺を渡しながら説明。快諾して下さった。その後、見学させてもらうことに。
 
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実は、見学させてもらうのをとても楽しみにしていた。写真でみたとき、重厚なゴシック式建築だがコンパクトであるゆえに、どことなくかわいらしさを感じさせる雰囲気があったからだ。ちなみに、外壁に使われている石は、近くを流れる大谷川(だいやがわ)と稲荷川から採石された安山岩*1。暗灰色をした石の色と窓枠の濃赤色のコントラストが、この地の雰囲気に調和していた。そんな訳で、中へと入ることに。
 
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この教会を設計したのは、アメリカ人の建築家にして教育者のJ.M.ガーディナー(1857〜1925)。立教学校(現:立教大学)初代校長としても著名。1914(大正3)年に建造、16(大正5)年に聖別*2、献堂された。ちなみに、礼拝堂は栃木県指定建造物として文化財登録されている。内壁は板橋石の平張り。外壁の重々しい色と質感とは対照的に、ステンドグラスから降り注ぐ陽の光は、神がこの空間に恩寵で満たすかのような神聖な雰囲気を十二分に演出している。
 
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屋根を支える梁は、シザーストラス*3という技法を用いている。稜線を見れば見る程ほれぼれとし、飽きがこない。
 
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この教会の特徴のひとつが、多くのカップルがここで式を挙げていること。愛妻家として知られたガーディナーは、結婚前に妻となるフローレンスとここ日光の地で愛を育んだとのこと。この教会の雰囲気も去ることながら、ガーディナー夫妻の愛情がこの教会を包み込んでいるからかもしれない。ちなみに、ガーディナー夫妻の遺骨は、礼拝堂の聖書朗読架前の床下に納められている。時を忘れ、ひんやりとした礼拝堂内を行きつ戻りつ、しばし眺めていた。
 
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クリスマスのリースが飾られた扉を開けて外へ出ると、冬の陽の光がことさら眩しく感じた。また来たくなる教会だった。
 
 
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*1:硬く耐火性に優れているため、建築用石材として使われている。

*2:聖なるものとして、他の被造物と別のものとすること。

*3:三角に梁を組む技法。強靭さが増し、また外壁のみで屋根を支えることができるため、 大きな空間を生み出す特徴がある。