SIM's memo

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一期一曲(24)

The Byrds "Chestnut Mare"(1970)
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 The Byrdsというバンドは、その時々によって音楽的スタイルを劇的に変化させていった稀有なグループだった。デビュー当時は、The Beatlesの初主演映画"A Hard Day's Night"でGeorge Harrisonが抱えていた12弦ギターに触発され、リーダーのJim McGuinnがアコースティック・ギターから12弦ギターにチェンジして、Bob Dylanの"Mr. Tambourine Man"をカバーした。これがフォーク・ロックの先駆けとなった。60年代中期にはThe BeatlesThe Beach Boysと相互に影響し合いながら、サイケデリック・ロックを、後期はカントリー・ロックへと変転し、ブルースやR&Bなどの要素を積極的に取り入れていった。その中でもひときわ輝いていたのが、今回とりあげる"Chestunut Mare"だ。
 
 Jim McGuinnのトレードマークとなった12弦ギターが奏でるアルペジオ、カントリー・ロック界のジミヘンと称されたギタリストのClarence Whiteによる激しいフレージングを奏でるアコースティック・ギター。無駄を一切省いた切れのあるビートを刻むGene Parsons、ベースのSkip Battenの演奏も忘れ難い。"Chestnut Mare"はセールス的には決して恵まれなかった。けれども、間違いなくアメリカン・ロックにおける名曲として、今なお生き続けている。
 
 2002年の初秋、地元のTower Recordで2枚組の"Untitled"を購入した。変則的な構成のアルバムの中で、12弦ギターとアコースティック・ギターの音色に常に魅了されてきた。あれから1ダースも年月を経た今なお、僕の耳にはかれらが奏でる音色が耳に残り続けている。秋風のように爽やかで曇りのないあの音色が。
 

タイトルのないアルバム(紙ジャケット仕様)

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