SIM's memo

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一期一曲(25)

Buffalo Springfield "For What It's Worth"(1967)
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 Buffalo Springfieldはその活動期間がわずか3年余にもかかわらず、かれらがロックの歴史に残した痕跡はあまりにも大きかった。かれらといわず、アメリカン・ロックにおけるエポック・メイキングになったのが"For What It's Worth"である。映画「フォレスト・ガンプ」のサントラにも収録されていたので、知っている人も多いかもしれない。
 
 1966年11月、L.A.のナイトクラブ「パンドラ・ボックス」の閉鎖に抗議するためサンセット・ストリップに集まった若者たちに対し、警察が治安目的で働いた暴力行為を目撃したStephen Stillsによってつくられた。冒頭のつまびくように弾くエレクトリック・ギターと心臓の鼓動のようなバス・ドラム、そしてこれらに間の手を入れるかのようなリフ。そして、Neil Youngのいささか情感のこもったギターでフェード・アウトしていく。あたかも静かなる抗議のように聴こえるのは、プロテスト・ソングと言われている由縁でもあろう。
 
 この曲はかれらにとって唯一のTop 10ヒットとなった。しかし時代の雰囲気をうまく切り取った歌詞とアレンジは半世紀近く経った今でも色褪せていない。時代は次第に不穏な空気に包まれていく。そして、Peter FondaとDenis Hopperが映画「イージー・ライダー」で描いたような殺伐とした「アメリカ」の現実に若者たちは直面せざるを得なくなる。"For What It's Worth"は、そんなアメリカにおけるロックにおいてもひとつの曲がり角を象徴した重要な一曲だったと思う。