SIM's memo

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読書備忘録

今月に入り、いきなり読書欲というか、本を読みたいという気持ちが俄然強くなってきた。こんな気持ち、かなり久しぶりである。1と3以外は、研究活動のために読んだ書籍である。

[ ]内は読了日

  1. [4/8]『柄谷行人インタヴューズ1977-2001』(講談社文藝文庫)
  2. [4/11]秋山清ニヒルとテロル』(平凡社ライブラリー
  3. [4/13]『柄谷行人インタヴューズ2002-2013』(講談社文藝文庫)
  4. [4/17]法政大学大原社会問題研究所編『証言 占領期の左翼とメディア』(御茶の水書房)
  5. [4/19]栗原幸夫プロレタリア文学とその時代 増補新版』(インパクト出版会
  6. [4/20]成田龍一大正デモクラシー』(岩波新書
  7. [4/21]加藤哲郎日本の社会主義』(岩波現代全書)

 
 1と3は、柄谷行人が媒体から取材を受けてきたインタヴューをまとめたもの。柄谷行人の入門書という位置づけ。個人的にはマルクスの『ルイ・ボナパルトブリュメール18日』の重要性がよくわかっただけでも収穫。
 2はよくぞ復刊したという名著。中でも本書の白眉は、江口渙の『続・わが文学半生記』で記したアナーキストたちの描き方へのほとんど唯一の批判だろう。当事者だからといって、感情的に批判するのではなく、江口に潜んでいた権威主義と啓蒙性が表裏一体であることを見透かしている。
 4はとても素晴らしかった。当事者たちの証言をまとめることで、占領期に至る左翼メディアの動向の内部がよくわかった。定価が6,000円以上だったけど、Amazonで600円で購入。労作だけに、なんだか複雑だった。
 5は概説書かと思いきや、プロレタリア文学をめぐる論考。なので、知識がないとかなり難解。再度読み直そう。6は時代背景をもう一度確認するために再読。読みやすかった。
 そして7。日本における社会主義の歴史を原子力エネルギー政策と原爆反対・原発推進絡めて語られている。社会主義共産主義原子力に期待を込め、言説を弄する一方、原子力エネルギーが原爆開発を経て生まれたという点がことごとく無視(あるいは気付かず)されてきたことに深く考えさせられる。結局、あるトピックの言説というのは、本人の意図を軽々と越え、あるいは本人の隠れた真意を見透かすものである。そこをどう読み解くかこそ、後世に託された課題である。