一期一曲(35)
Average White Band "Cut the Cake"(1975)
スコットランドといえば、ウィスキーにタータン、そしてソウル(リズム&ブルース)である。あまり知られていないが、スコットランドではソウル(リズム&ブルース)がかなりもてはやされていたという。その中でも1970年代のスコットランドで、白人のソウル・バンドとして活躍していたのがAverage White Band(AWB)である。とりわけ、かれらの持ち味であるソウルフルでファンキーかつメロウなサウンドを聴かせてくれるのがアルバム"Cut the Cake"。中でもタイトル・トラックはその何よりも象徴的な1曲である。
このアルバム発表の前年、ドラムスのRobbie McIntoshがドラッグの過剰摂取で亡くなり、急遽Robbieの友人だったSteve Ferroneが加入した。当初Steveはバンドの名前と自分の黒い肌色がバンド・イメージと合わないとして加入すべきか否かかなり悩んでいたという。しかしメンバーたちの強い要望もあり加入を決心したという。結果的にSteveが加入したことで、皮肉な話だが、AWBのリズム・セクションが骨太かつファンキーになった。そしてかれらを代表する1枚として好セールを記録。ソウル愛好家の高い評価を受けた。プロデューサーはソウルの名門AtlanticのArif Mardin。AWBの音がタイトかつメリハリがあるのは、Arifの手腕と評価していいだろう。
秋が深まるにつれ、僕はこのアルバムを聴きたくなる。Alan GorrieとHamish Stuartのハーモニーとリズム&ホーン・セクションの絡まり合いが落葉を踏みしめるように心地よく聴くことができる。そして何よりも、Cut the cake and please let me eat!と叫びたくなる。名盤なので、リマスター盤&紙ジャケット化を切に要望したい。
- アーティスト: アヴェレイジ・ホワイト・バンド
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1995/09/06
- メディア: CD
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