SIM's memo

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一期一曲(6)

Badfinger "No Matter What"(1970)
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 イントロのギターのカッティングがとても印象的なこの曲をはじめて聴いた時は鳥肌が立った。高校2年のこれまた夏のことである。確か前の年の秋ころに、東芝EMI(当時)からBadfingerのカタログがはじめてCD化されたのだ。遅ればせながら、お小遣いから購入した僕は、毎日のようにこの曲が収録されている"No Dice"というアルバムを聴いていた。そしてこのイントロを聴くと、真夏のとても暑い午後を思い出す。
 この曲をつくったPete Hamはコンポーザーとして、当時活躍していた数多いたミュージシャンの中でも突出していたと思う。天才肌という感じはしないが、非凡という言葉が相応しいミュージシャン。忘れ難き人だ。その類い稀なるコンポーザーとしての力を遺憾なく発揮している"No Matter What"は、メロディーラインも去ることながら、何よりもアレンジが素晴らしい。いわゆるPower Popのお手本のようなアレンジ。派手なギタープレイではないが、印象的なカッティングで曲の彩りを決定づけている。とてもいい曲なのだが、あまりにもまとまりすぎていて、こころに強いひっかかりをもたらしているという程ではないのが唯一の難点と言えようか。しかしながら、僕はとても好きな曲である。
 
 PeteもそしてPeteとともにグループを支えてきたTom Evans、そして個性的なドラマーのMike Gibbinsは既に鬼籍に入っている。けれども、Badfingerというグループが今なお聴くことができるのは大変喜ばしいことである。
 

ノー・ダイス(紙ジャケット仕様)

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