SIM's memo

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一期一曲(7)

Deep Purple "Highway Star"(1972)
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 暑い夏にはやっぱりライヴである。今では聴くことが叶わないであろう数多あるライヴの中で、伝説とも言われているDeep PurpleのJapan tour in 1972は実際目の前でみたかった。海外に"BUDOHKAN"の名前をBeatles以上に広めたライブ盤が"Live in Japan"。その1曲目を飾るのが、今回取り上げた曲である。
 とにかくまず驚いたのが、ライヴ音源にもかかわらず音質がとてもいいこと。高校2年の夏にはじめてCDでこのアルバムを聴いた時、音質のよさと迫力に圧倒された。Ian Gillanのパワフルなヴォーカル、今は亡きJohn Lordが奏でるオルガン、いつまでもズラ疑惑がつきまとっていたRitchie Blackmoreの想像豊かなギターのフレージングetc…とにかく、かれらの演奏には疾走感があった。それが無駄に性欲等をもてあましていた高校生の僕には実に爽快だった。とりわけ、"Highway Star"の演奏には参った。
 
 このアルバムをはじめて聴いた後、王様によるハードロックの日本語翻訳(というか直訳の)カヴァーを聴いた。王様は演奏がとてもうまいのだが、それ以上に"Highway Star"や"Smoke on the Water"といったDeep Purpleの歌詞を直訳したカヴァーは、かれらの演奏を異化するに足りる程のインパクトがあった。やっぱり、ハードロックにはふかーいふかーい意味が込められた歌詞よりも、とにかくバカらしく愚直なまでにストレートなものがいいんだと気付かされた。そういう意味では、1972年のrock boys &girlsたちに衝撃を与えたDeep Purpleを日本におけるrock 'n' roll受容のsecond invasion*1だとしたら、王様のそれはthird invasionだと勝手に思っている(間違っても、folkでもpunkでもない)。
 

ライヴ・イン・ジャパン(紙ジャケット仕様)

ライヴ・イン・ジャパン(紙ジャケット仕様)

*1:first invasionは1960年代中頃のVenturesであったと断言してもいい。