Gozo & Dylan(Part Ⅰ)
どうもご無沙汰しております。皆様、お元気だったでしょうか?こちらは相も変わらず、俗事にもまれにもまれた日々を過ごしております。が、24・25日の2日間は、僕にとってのコペルニクス的転回をもたらしてくれた2日間でした。主人公は、吉増剛造とBob Dylan.
なぜこの2人なのか?まず吉増剛造から。24日、足利市立美術館で開催中の企画展「画家の詩、詩人の絵」のイベントとして、本企画展にも出品している詩人のトークセッションに参加した。吉増の名は、学生時代から常に目にしてきた人である。そして、僕の好きな田村隆一のエッセイにも度々登場する詩人ということもあって、その人の姿を間近で見られるまたとないチャンスだと思ったためだ。ちょうど、講談社現代新書から、彼の自伝も出たこともあった。
そして、Dylan。翌25日、渋谷はBunkamura オーチャードホールでのライブ。今年75になるDylanの「今」の姿と声を聴きたくて観てきたいってもいい。
時代の雰囲気を受け止めながら、過去と今を往還する
約60名ほどの客席のところへ入ってきた吉増は、とにかく笑顔が素敵な人だった。時に眼光鋭い詩人の顔になるのだが、僕は彼の笑顔にグッと心を掴まれた。イヤホンを耳にし、レコーダーを回しながら話す吉増*1。そうした彼の日常の営みに、僕たちも参加しているというのに素朴な驚きと面白さを感じつつ話に耳を傾けていた。
吉増は声とリズムを大切にする詩人である。そして、「今」を生きる時代の匂いをかいだり肌で感じながら文字を刻んでいる詩人である。話を聞きながら、そのことを痛感できたのが大きな喜びだったし衝撃だった。何よりも、懐古趣味的に過去を振り返るのではなく、今と往還しながら「今」を生きている。そして、あちらこちらから聞こえてくる時代の声を、自らの身体で増幅させながら言葉を刻み続けている。
振り返って、今の僕に足らなかったのは何だろう?それは、あまりにも当たり前に思えていた「音」のある日常と空気感への感受性だ。
吉増剛造の現在進行形の姿を見、声を聞けたのは、とにかく僕に衝撃をもたらした。(続)
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*1:彼が現在行っているプロジェクトというか日々の営み