写真整理(4)
太田と高崎と
6月中旬、太田市は金山城跡へ。関東七名城のひとつに数えら
れ、関東では珍しく石垣がちゃんとのこる城跡だ。ここを訪れ
る前に、隈研吾設計のガイダンス施設に行くといい。だけど、
行かなくても十分楽しめる。ちょっと、風雲たけし城を思い出
した。
6月下旬、高崎市は上毛野はにわの里公園へ。目玉は、様々な埴輪のレプリ
カに囲まれた八幡塚公園。
墳丘第三段をのぼると、榛名山などのギザギザとした稜線がはっきり見えた。群馬の山並みはいい。
そんな墳丘第三段からは、石室内部へ入る入口がある。中へ入ると・・・
舟形石棺が間近で見ることができる。関西(とくに兵庫県)の人からすると、
石室内部に入ることができる古墳が多いからこんなのは珍しくもなんともない
かもしれない。けれども、関東ではこういう古墳ってなかなか見かけることが
できない。古代の群馬は東国地方の中心地だったことがよくわかる。
(続)
写真整理(3)
野木町煉瓦窯
6月下旬、修復工事が終了し、新装オープンした野木町煉瓦窯
(旧下野煉化製造会社煉瓦窯)を見学。修復工事直前の201
1年夏に見学して以来の訪問。16角形と長い煙突が美しい。
16角形あるので、入口も16箇所ある。見学では、第11号
からしか入ることができない。中は煉瓦窯の成り立ちなどのガ
イダンスとなっている。
いったん外へ出て2階へのぼると、炭を投げ入れる部屋がある。
熱気が今にも伝わってきそうだった。
ダンパー(煙道から煙突へ排気をおこなう装置)開閉器
赤レンガはきれいでなんだか食べたくなる感じが昔からしてい
た。あのずっしりとした重さは、陶器とはまた違った味わいが
あって好きだ。
(続)
写真整理(2)
足尾
6月下旬、数年ぶりに足尾にある古河掛水倶楽部へ行く。ここは、かつての古河鉱業の迎賓館として利用され、今なお古河の福利厚生施設として利用されている国登録有形文化財。中は撮影禁止だったのが残念。ここで美味しいコーヒーがいただける。
古河掛水倶楽部入口横にあるレンガ造りの建物は「旧足尾鉱業所
事務所付属倉庫」。この赤レンガ倉庫は今なお使われているとか。
古河掛水倶楽部の横から庭へ行くことができるが、その途中にこ
んな小屋のような建物が。中へ入ると・・・
戦時中、防空壕として利用されていた。
中はひんやりしてはいるが、狭くてちょっと怖かった。
この防空壕跡を抜けると、古河掛水倶楽部の和洋折衷様式の真骨頂を垣間見
ることができる。2階のテラスからは、すぐそばを流れる渡良瀬川を望むこ
とができる。上流部なので、とてもきれいだった。
(続)
写真整理(1)
片品〜日光
5月下旬。沼田経由で片品から金精峠から中禅寺湖へ。途中、片
品村の「花咲の湯」で「アスパラまつり」なるイベントが。ステ
ージには地元で活動している女性の歌手がうたっていた。
金精峠を抜け、中禅寺湖畔をぐるりと走る、日光二荒山神社中宮
祠が雲ひとつない青空だった。奥日光の5月は素晴らしい。
6月初旬、日光は滝尾古道へ。東照宮美術館付近で子鹿がツツジ
の葉をはみはみしていた。一見するとかわいらしい光景だが、実
は深刻な自体を物語っている。以前は、ここまで鹿は降りてこな
かった。けれども、かれらが棲む場所が少なくなり、餌を求めて
ここまで降りてきた訳である。
石畳を歩き、急な石の階段を登ると、運試しの鳥居と滝尾神社の
楼門が見えてくる。弁柄色と紅葉の鮮やかな緑色のコントラスト
が美しかった。
その後、滝尾神社を下り、日光二荒山神社へ向かうべく長い石の
階段を登ると、役の小角と侍鬼が祀られた輪王寺行者堂がある。
その階段下には、首のない石仏がある。明治期の廃仏毀釈のなご
りだろう。
6月中旬。仕事で奥日光にある英国大使館別荘を見学。7月開館の前に静かな環境で観ることができたのがよかった。あいにくの天候だったが、テラスから眺める中禅寺湖は絶景。英国の外交官だったアーネスト・サトウがこよなく愛した風景がここにはある。
(続)
GW
今更ながら、GWに出かけた(仕事含む)ところで気ままに撮った写真を備忘録的に。
桐生の近代化遺産
Gozo & Dylan(Part Ⅱ)
21世紀のAmerican Popular Musicを奏でているDylan
今月(4月)に入って、日本の主要都市でツアーを行ってきたDylan. 一緒に行ったM氏から予めset list&音源を送ってもらっていたので、だいたいこんな感じの曲をやるんだなーとはわかっていた。けれども、月並みな表現だが、生演奏による音の塊を受けながら聴くのは驚きだ。Dylan版ムード歌謡といったテイストの曲も結構あったのだが、基本的にはRock 'n Roll. 月日の流れとともに姿形は違えども、半世紀前にacousticではなくelectric guitarを持ってステージに現れた時とbaseは何ら変わっていない。それがわかったのが、まず嬉しかった。
変わっていないというのは、何も進化も変化もないということを意味しているのではない。これは、アンコールでやった"Browin' in the Wind"を聴いてもらうとわかるはずだ。しゃがれた声で「これ、新曲なんだけど聴いて」と言われてもまったくわからない。2016年時点での"Browin' in the Wind"。その時々で最新の音楽潮流をとらえながら、再解釈する。Dylanほど接頭辞の"re"が似合う人はいない。
時空を往還する軽やかさ
吉増剛造とBob Dylan二人に共通しているなあと感じたのは、今ある地点を軸に過去と未来を自由に往還している点だ。その姿はとても軽やかに見えた。これを円熟という言葉で片付けるのは違う。大きく息を吸い込んで、ゆっくり息を吐くように言葉を奏でる2人。かれらの身体から発せられる力を同じ空間で共有できたのは、何よりも得難い経験だった。この2日間の出来事を、僕はゆっくりと今整理している。そうしないと、次に進めないような気もしている。
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Gozo & Dylan(Part Ⅰ)
どうもご無沙汰しております。皆様、お元気だったでしょうか?こちらは相も変わらず、俗事にもまれにもまれた日々を過ごしております。が、24・25日の2日間は、僕にとってのコペルニクス的転回をもたらしてくれた2日間でした。主人公は、吉増剛造とBob Dylan.
なぜこの2人なのか?まず吉増剛造から。24日、足利市立美術館で開催中の企画展「画家の詩、詩人の絵」のイベントとして、本企画展にも出品している詩人のトークセッションに参加した。吉増の名は、学生時代から常に目にしてきた人である。そして、僕の好きな田村隆一のエッセイにも度々登場する詩人ということもあって、その人の姿を間近で見られるまたとないチャンスだと思ったためだ。ちょうど、講談社現代新書から、彼の自伝も出たこともあった。
そして、Dylan。翌25日、渋谷はBunkamura オーチャードホールでのライブ。今年75になるDylanの「今」の姿と声を聴きたくて観てきたいってもいい。
時代の雰囲気を受け止めながら、過去と今を往還する
約60名ほどの客席のところへ入ってきた吉増は、とにかく笑顔が素敵な人だった。時に眼光鋭い詩人の顔になるのだが、僕は彼の笑顔にグッと心を掴まれた。イヤホンを耳にし、レコーダーを回しながら話す吉増*1。そうした彼の日常の営みに、僕たちも参加しているというのに素朴な驚きと面白さを感じつつ話に耳を傾けていた。
吉増は声とリズムを大切にする詩人である。そして、「今」を生きる時代の匂いをかいだり肌で感じながら文字を刻んでいる詩人である。話を聞きながら、そのことを痛感できたのが大きな喜びだったし衝撃だった。何よりも、懐古趣味的に過去を振り返るのではなく、今と往還しながら「今」を生きている。そして、あちらこちらから聞こえてくる時代の声を、自らの身体で増幅させながら言葉を刻み続けている。
振り返って、今の僕に足らなかったのは何だろう?それは、あまりにも当たり前に思えていた「音」のある日常と空気感への感受性だ。
吉増剛造の現在進行形の姿を見、声を聞けたのは、とにかく僕に衝撃をもたらした。(続)
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- 作者: 吉増剛造
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*1:彼が現在行っているプロジェクトというか日々の営み
明けました
おめでとうございます。写真は昨年同様、寓居から南東方向に拝した初日の出。遠く筑波山へと続く稜線がオレンジと青のグラデーションできれいに描かれているようです。
さて、平成28(2016)年がはじまりました。昨年4つの目標をここで掲げました。けれども達成できたのは1.5個しかなかった・・・。うーん、まずい。今年も懲りずに目標を掲げます。
- 偏見なくとびこんでいける勇気
- 仕事とプライベートの使い分けを上手に
- 適度な運動
- 小説10タイトルの再読(和洋問わず)
あれっ?昨年とあまり変わらないじゃんという気もします。これにはちょっとした理由があります。昨年は新たなステージがはじまったという感じが後半あたりにひしひしと身体に伝わってきました。20代にコツコツと蓄えてきた貯金が底をつきつつあり、新たなことをはじめないといけなくなっていると痛感しています。そんな時期だからこそ、4つ目に掲げた「偏見なくとびこんでいける勇気」が必要だなと思ってます。音楽しかり、読書しかり、興味しかり。アイディアはそんなに沢山沸くわけでもないので、物事を少しずらしながら楽しんでいけるといいなと思ってます。
そして、仕事とプライベートの境目がなくなっていたのが昨年でした。気がつけば仕事ばかり。気分転換をもっとうまくやっていきたいです。そのためにも(そして身体のためにも)適度な運動。面倒だと思わず、楽しくやりたいです。
最後は昨年も掲げました「小説10タイトルの再読」。昨年は、漱石のみの再読。気がつけば、積読状態の書籍が200冊近くある中、読書時間の確保もさることながら、どの小説を再読するか考えないといかんなあと思ったりしてます。
結局のところ、「偏見なくとびこんでいける勇気」と「仕事とプライベートの使い分けを上手に」すること、この2つが2016年の大きなテーマになりそうです。
そんな訳で、本年もどうぞよろしくお願い致します。
輝く!積読状態の書籍アワード2015(下)
ヴィジュアル本で想像の旅を巡る
さて、今年はヴィジュアル本をそれなりに購入しました。仕事の一環というのがほとんどでしたが、気になってしまう基準というのがあります。それはエディトリアル・シップがきちんとしている書籍かどうかです。そう考えると、上記の3冊はそれぞれに個性的です。その中で選んだのが・・・
- 作者: 細萱久美,野川かさね
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2015/11/20
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何が素晴らしいって、まず幾何学模様と円形に収めた写真という表紙デザイン、そしてどこかなつかしくなるようなフォント。函館の魅力を満遍なく紹介しているところもいいのですが、フィルムで撮影したの?と思わせるような写真の質感がいいです。こういう書籍を丁寧につくりたいと思わせてくれた一冊です。じっくり味わいたいので、まだ積読状態にしております。
新書で辿る思考の迷宮
今年も例年通り、新書をたくさん購入しました。だいたい岩波か中公に偏っていますので、ノミネートされた書籍も自ずとこういうことになってます。そんな中、選ばせていただいたのが・・・
- 作者: 湯浅浩史
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/09/19
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ヒョウタンって不思議です。「瓢」とも昔は言っておりました。実をくりぬいて乾燥させると器になります。ヒョウタンに入った水をうまそうに飲む場面に出くわすとワクワクしたものです。そんなヒョウタンのことをよく知らないなあと思って購入。身近なモノの歴史を新書というハンディな形態で読めるというのは有難いことです。
変化球も
例年だと、人文系で歴史・哲学関係の書籍を多く購入するのですが、今年はちょっと毛色が違うものも購入していました。よく言えば好奇心と言えるのでしょうが、関心事が散漫なだけとも言えます。そんな中、迷いに迷って選んだのがこちら。
- 作者: カル・ラウスティアラ,クリストファー・スプリグマン,山田奨治(解説),山形浩生,森本正史
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2015/11/26
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タイトルと表紙にちょっとびっくりしてしまいますが、中身はいたって真面目です。しかも読みやすい!著作権を考えるとき、どうしてもオリジナリティーor創造性ということを考えてしまいます。しかしそんなものってあるんでしょうか?本書はそんな疑問に対して、ファッション、料理、コメディーなどから「パクリ」がいかに創造性に寄与しているかを例証しています。「パクリ」といいましたが、問題はアレンジです。ひとひねりです。それは作品はみんなのものという「パブリック・ドメイン」の問題に行き着きます。11月下旬に出版された本書はもっと話題にのぼってもいいように思ってます。
(おまけ)いただきもの
- 『竹のめざめ』(栃木県立美術館)
- 『おじさんの顔が空に浮かぶ日』(宇都宮市美術館)
今年は実に多くの書籍をいただきました。その中で、読了してはいないけれども、パラパラとめくっている(これもまた積読状態を指します)のが上記の2冊。『竹のめざめ』はこの企画を担当した若き学芸員さんよりいただきました。竹工芸が専門なのですが、彼女の工芸への愛情を深く感じました。『おじさんの〜』はこのプロジェクトに参加した方より頂戴しました。このプロジェクトについては、こちらを参照ください。メディアにも多数取り上げられました。
それでは、2015年積読状態の書籍大賞は・・・?
長らくのお付き合い有難うございます。それでは、大賞の発表です。大賞に選ばれましたのは、こちらの書籍です!
風貌・私の美学 土門拳エッセイ選 酒井忠康編 (講談社文芸文庫)
- 作者: 土門拳,酒井忠康
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/10
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これまでの部門から選ばないんかよーって言われそうですが、本書の引き寄せられ方は尋常ではなかったのでこちらを選びました。なにせ、ページをめくって出てくるのが、赤痢の病原菌を発見した志賀潔のどアップ写真。土門拳という人の真骨頂がよーくわかります。これら撮影した人たちをめぐるエッセイを読みたくならない訳がありません。そんなことで、土門拳に改めて魅了された年末でした。
正月は積読状態の書籍を読むのを楽しみに過ごしたいと思うのですが、3日から仕事なのでどうなることやら・・・。皆さま、本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。