SIM's memo

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Thoughts

性格診断からノイズへ

はてなブログの読者登録をしている方の記事を読んでいたら、性格診断のサイトが紹介されていたのでやってみた。

詐欺電話から考える親と老い

昨夜、母親(64)から不在着信の電話があった。かけなおすと、昨日の電話の件どうしたの?と言われ、一瞬「えっ」と思った。その日は実家に電話をしていない。しかし母親曰く、電話をしたという。よくよく話を聞いてみると、どうも僕が携帯電話の架空請求で…

嫉妬

「愛のさなかに生じる感情で、愛する人が自分以外の誰かを愛しているのではないかというおそれから来る」(『リトレ国語辞典』) 上の引用文は、ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』(邦訳:みすず書房)に収録されている「嫉妬」の劈頭に掲げられて…

身体的欲求と温泉

ここ最近、個人的に空前の温泉ブームがやってきている。きっかけは、2週間前に発症した坐骨神経痛を癒すためだった。普段浴槽にお湯をはることなく、シャワーですませてきた者とすれば、広々としたところでお湯につかるのが想像以上に気持ちがいい。なので…

AVについて勝手ながら真面目に向き合ってみる(3)

何故ぼくはAVを見続けるのか? 前回の記事で、ぼくは「何故AVを見続けるのか?」という問いに対して、「AVを通じて『ぼく』という存在をつねに対自化していかないと不安なため、そしてそんな不安な状態にもかかわらず、それが揺籃のように心地よく、逃げ場と…

AVについて勝手ながら真面目に向き合ってみる(2)

AV女優という存在 そもそも、AV女優というペルソナには、「性の商品化」あるいは「自由意志」がくっついている。そのペルソナを身につけながら、彼女たちはカメラに向けて饒舌に「わたし」を語る。「AV女優」というペルソナは基本的に、だれかから強制的にさ…

AVについて勝手ながら真面目に向き合ってみる(1)

2013年9月のおわり頃に書いた記事のアクセスがやたらと多かった。調べてみると、"Gunosy"という登録者の興味にあった情報を収集してくれるサイトからのアクセスだった。

AVの昨日・今日・明日(2)

AV監督のカンパニー松尾は、ヴィデオ・カメラ片手に、様々な女性たちと対峙してきた。彼のスタイルはいわゆる「ハメ撮り」という。カメラ片手に自らが行為に及ぶところを撮影のことだ。AVのレゾン・デートルを単刀直入に、見る側のマスターベーションの一助…

AVの昨日・今日・明日(1)

昨日、サイゾーに掲載されていたAV*1男優の加藤鷹のインタビュー記事を読んだ。加藤は最近、AV男優を「卒業」すると宣言し、インターネットのニュースでも取り上げられていた。まあ、それくらいこの業界では有名な人物である。その加藤が、3年前からAV男優を…

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(4)〜

門をくぐれた御米、くぐれなかった宗助(2) 宗助が御米の心身の不調と入れ替わるように、不安に苛まれる直接のきっかけとなったのが、かつての友人安井の存在であった。崖上に住む大家の坂井家主人の弟が蒙古におり、そこで知り合った友人というのが安井で…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(11)

まとめ 以上で現行憲法と改正草案の前文を読み比べながら、改正草案前文を批判的に検討してきた。ここで再度、(9)で述べた改正草案前文の批判にあたってのポイントを述べておこう。 「人類普遍の原理」の削除(3・6) 「他者」の排除(4) 「天賦人権…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(10)

天賦人権説をめぐって そもそも「天賦人権説」とは何か?この「説」の基になっている「天賦人権」という言葉の意味を調べると、こう記載されている。なお、参考までに「天賦人権説」の辞書上での意味も記載しておく。 【天賦人権】 天がすべての人に対して平…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(9)

現行憲法と改正草案を読み比べる 〜最終段〜 それぞれの前文の最終段を見てみよう。 【現行憲法】 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ 【改正草案】 日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(8)

「公共の福祉」と「公益及び公の秩序」そして「自由」 「公共の福祉」(public welfare)とは、AとBがそれぞれの権利を主張した際、多種多様な人間が生活する社会なので、どうしても互いの権利をめぐって衝突せざるを得なくなる場面が出てくる。また人権には…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(7)

現行憲法と改正草案を読み比べる 〜第3段(下)〜 前回は、改正草案前文の第3段で述べられている「…であるべき」という「当然」のニュアンスについて、『日本国憲法前文に関する基礎的資料』(衆憲資第32 号、以下『資料』と略す)に掲載されている前文の…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(6)

現行憲法と改正草案を読み比べる 〜第3段(中)〜 それでは、改正草案前文第3段は、どのように述べられているだろう。

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(5)

現行憲法と改正草案を読み比べる 〜第3段(上)〜 つづいて前文第3段では、国際社会における「国際協調主義」を宣言している。

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(4)

現行憲法と改正草案を読み比べる 〜第2段〜 つづいて、前文第2段を読んでみる。まずは現行憲法から。

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(3)

さて、今回読み比べで参照した資料をまずは列記しておく。 衆議院憲法調査委員会事務局『日本国憲法前文に関する基礎的資料』(2003年) 自由民主党『日本国憲法改正草案(全文)』(2012年) 自由民主党『日本国憲法改正草案Q&A』(2012年) 「…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(2)

なにゆえに前文を? 現行憲法と改正草案を読み比べる前に、何故おまえは条文を読むのではなく前文を読むのか?という点を述べておきたい。それは以下の2つの理由からである。 前文に現行憲法の原理が明確に宣言されているから 現行憲法の前文の法規範性 1…

日本国憲法前文をはじめてちゃんと読む(1)

先日、ビデオニュース・ドットコムのニュース・コメンタリーを見ていたら、7月3日の日本記者クラブ主催の主要9党首による討論会のことが語られていた。

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(3)〜

門をくぐれた御米、くぐれなかった宗助(1) もともと身体が丈夫ではない御米が、精神的疲労と緊張感から「発作」で寝込んでしまう場面がある。そこに至る伏線を箇条書きしておこう。

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(2)〜

御米という存在 野中宗助の妻御米はどう描かれているのか。まずはこちらを読んでみよう。

反=恋愛小説として 〜漱石『門』を読む(1)〜

明治43(1910)年に発表された漱石の『門』を久しぶりに読み返した。最近、あまり小説を読まなかった(読めなかった)が、一気に読了した。今読んでも古さを感じさせない。あれこれ、問いがちりばめられている。これこそ、文学の文学たる由縁だろう。…

悩むこと

ひところ、『悩む力』という書籍がかなり売れたのは記憶に新しい。僕自身、よくあれこれどうでもいいことで悩んでいる。そういう意味では、「悩む力」はあるのかもしれない。だけど、振り返ってみて、所詮表層的なところで撞着しているだけの話である。滑稽…

M:Most of us are sad

喜びの時は一瞬だけど、悲しい時は長く静かにひきずる。質量化してみれば、おそらく同じ割合なのだろうけど、感じ方はまったく違う。漱石の『草枕』の冒頭は有名だけど、読んでみると、ベースにあるのはロングテールのような長い長い哀しみのような気がする…

序列化された「いのち」

昨今の日本と東アジア周辺諸国との様々な軋轢は、何も今にはじまったことではない。振り返れば一世紀以上も前から続いていることである。 歴史学者である小松 裕による『「いのち」と帝国日本』は、「いのち」をキーワードに据え、出来るだけ多くの声なき声…